カンキツ果実のフラボノイド組成
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要約
カンキツ果実に含まれる主要な機能性成分である17種類のフラボノイド類についてカンキツ果実45種のアルベド、フラベド、じょうのう膜、および果肉における組成データを提供する。
背景・ねらい
フラボノイドはカンキツ果実を代表する生理機能性成分である。例えば、代表的なフラボノイドであるヘスペリジンやナリンギンは肥満
に関与する前駆脂肪細胞の分化促進効果をもち、ポリメトキシフラボンのノビレチンは血糖値上昇抑制及び血圧降下作用をもつこと等が報告されている。そこ
で、カンキツ果実のフラボノイドを有効に活用するためにカンキツ品種のフラボノイド組成・含量を明確にすることを目的とする。
成果の内容・特徴
- 供試品種。カブヤオ、メキシカンライム、タヒチライム、ベルガモット、ビロロ、シトロン、ユーレカレモン、スイートレモン、ルミー、ヒラドブンタン、シャテンユ、マーシュグレープフルーツ、キヌカワ、ハッサク、ナツダイダイ、サンボウカン、サワーオレンジ、バレンシアオレンジ、モリタネーブル、イヨカン、ヒュウガナツ、シュンコウカン、ユズ、スダチ、カボス、キング、ウンシュウ、ヤツシロ、ケラジ、オートー、ポンカン、ダンシータンゼジェリン、クレメンティン、ジミカン、シカイカン、タチバナ、コベニミカン、キシュウ、サンキツ、シークワサー、コウジ、シキキツ、ナガミキンカン、ニンポウキンカンの適熟果実計45種。
- 供試フラボノイド。エリオシトリン、ネオエリオシトリン、ナリルチン、ナリンギン、ヘスペリジン、ネオヘスペリジン、ネオポンシリン、ポンシリン、ルチン、イソロイフォリン、ロイフォリン、ディオスミン、ネオディオスミン、シネンセチン、ノビレチン、タンジェレチン、およびヘプタメトシキフラボンの計17成分。
- サンプル調製および分析手法は近畿中国四国農業研究センター研究報告、5、19-84に準じる。
- 一例として、ポンカン果実の生重量100g当たりのフラボノイド含量を示す(表1)。フラベドは果皮外側の着色部位、アルベドは果皮内側の白い部位、じょうのう膜は果肉を包む膜を指す。果皮および果実における値は各部位の重量比から算出されたデータである。フラベドではシネンセチン、ノビレチン、タンジェレチン等のポリメトキシフラボン濃度が比較的高い。とりわけノビレチン及びタンジェレチン濃度は供試品種の中でも最も高い部類に入る。アルベドではナリルチン、ヘスペリジン、及びネオポンシリン等カンキツ特有のフラバノン含量が高い。果肉における濃度は低く、比較的単純な組成である。
成果の活用面・留意点
- カンキツ果実のフラボノイドを有効に利用するための基礎的データとして活用できる。
- 年次及び産地間における含量の変動を考慮する必要がある。
具体的データ

その他
- 研究課題名:機能性成分高含有ポンカン加工品の開発
- 課題ID:06-03-08-(01)-*-04
- 予算区分:需要創出
- 研究期間:1998∼2000年度
- 研究担当者:野方洋一、中村善行
- 発表論文等:
Nogata et al.、2006、Bioscience Biotechnology and
Biochemistry、accepted
野方、2005、近畿中国四国農業研究センター研究報告、5、19-84
石井ら、2004、日本栄養・食糧学会講演要旨集、182