微生物密度解析のためのMPN(最確値)法関連のマクロプログラム

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要約

本プログラムは、MPN法における希釈段階毎の希釈率および反復数を自由に設定した場合のMPN値を算出できる。併せて開発した、MPN値の95%信頼限界の算出および、MPN値間の有意差多重比較プログラムにより、土壌微生物密度解析の精度向上が期待できる。

  • キーワード:MPN(最確値)、微生物密度、プログラム、マクロ、Microsoft Excel
  • 担当:近中四農研・環境保全型野菜研究チーム
  • 連絡先:電話0773-42-0109、電子メールwenarc-seika@naro.affrc.go.jp
  • 区分:近畿中国四国農業・生産環境(土壌)、共通基盤・土壌肥料
  • 分類:研究・参考

背景・ねらい

MPN(最確値)法は土壌・水・食品等の微生物密度解析のために広く用いられているが、その分析において行われる希釈操作段階毎の希釈率および反復数を自由に設定した場合の計算法については、基本的な計算式はあるものの(Cochran 1950)、マニュアル化されていない。そのためMPN法は検出したい微生物毎に必要な精度と密度に対応した簡便な手法とはなっていない。 そこで、MPN法における希釈段階毎の希釈率および反復数を自由に設定した場合のMPN値を算出でき、併せてMPN値の95%信頼限界の算出および、MPN値間の有意差多重比較により、土壌微生物密度解析の精度向上が期待できるパソコン用プログラムを開発する。

成果の内容・特徴

  • MPN値の算出:Excelシート上で、指定されたセルに各希釈段階毎の希釈率、反復数、陽性数を入力し、マクロ「MPN1」を実行するとMPNおよび95%信頼限界の下限および上限値が出力される。また、希釈率、反復数が同一で陽性数のみが異なる場合のMPN表はマクロ「MPN2」で作成できる。(図1)
  • MPN値の試料間の有意差多重比較:有意差多重比較にあたっては、各希釈段階毎の希釈率が異なる場合は希釈率を補正したMPN値を用いる。Excelシート上で、指定されたセルに試料名、希釈率補正MPN値、反復数を入力し、マクロ「Sort」および「MtCheck」を実行すると、MPN値の試料間の多重比較(t検定)結果と有意差判定表(危険率 :1, 5, 10, 20, 30%)が出力される。(図1)
  • 上記で算出したMPN値および信頼限界値は、従来の実験書に掲載されている値と大略一致している(表1)。
  • 以上に基づき、微生物の密度が土壌1gあたり10^0~10^6の範囲にある場合について、検出できるMPN法の希釈および反復条件を検索したので例示する(表2)。

成果の活用面・留意点

  • 土壌微生物密度のMPN法による算出と、その信頼限界や試験区間の有意差検定に活用する。
  • プログラム動作条件として、Microsoft Excel 2000 以上がインストールされていること、また、Excelのセキュリティーレベルを「中」に設定することが必要である。
  • プログラムに用いたMPN値算出式、95%信頼限界算出式およびMPN値間の有意差検定式は(Cochran 1950)により、また解は最尤法を用いている。
  • プログラムはマクロとしてExcelファイルに保存されており、各作業シートにはデータ入力やマクロ利用のための手順の説明が記載されている。

具体的データ

図1 開発したMPN 解析プログラムの流れと特徴

表1 本プログラムによるMPN 値等の算出結果と既往の値との比較(10 倍希釈、5 反復条件)

表2 微生物密度が10^0 ~ 10^6(cell / g 土壌)の範囲について検出できる希釈・反復条件の例

 

その他

  • 研究課題名:中山間・傾斜地における環境調和型野菜花き生産技術の開発
  • 課題ID:214-u
  • 予算区分:所特定、基盤研究費、高度化事業
  • 研究期間:2006~2010年度
  • 研究担当者:堀 兼明、須賀有子、横山和平(山口大)、小森冴香、福永亜矢子、池田順一