アシュラム剤散布でワラビが枯れるとイノシシの掘り起こしが発生する
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要約
放牧地内のワラビを防除するために、7月にアシュラム剤を散布すると、その効果でワラビの地上部が枯死する9月にイノシシが草地を掘り起こす。また、イノシシは、ワラビの根茎を選択的に掘り起こす。
- キーワード:アシュラム剤、イノシシ、草地、掘り起こし、ワラビ
- 担当:近中四農研・鳥獣害研究チーム
- 連絡先:電話0854-82-0060
- 区分:近畿中国四国農業・生産環境(鳥獣害)
- 分類:研究・参考
背景・ねらい
ワラビは草地の強害雑草のひとつで、家畜が多量に採食した場合には急性中毒の発生原因となるため、その防除が必要となる。最近になり、ワラビ防除のために
アシュラム剤を散布すると、イノシシが草地を掘り起こすことがある。しかし、アシュラム剤散布と掘り起こしの因果関係については不明である。また、イノシ
シが何を目的に掘り起こすのか不明である。そこで、野外実験によって、これらの点について明らかにする。
成果の内容・特徴
- 放牧地内のワラビの優占する区画に7月にアシュラム剤を散布すると、9月までにワラビの地上部が枯死し、その時点で、イノシシの掘り起こしが発生する(写真1)。アシュラム散布区での掘り起こし割合は、隣接する無散布区に比べて大きい(図1)。
- 掘り起こしがランダムに発生した場合のワラビの出現割合(つまり区画全体での出現割合、期待値)よりも、実際にイノシシの掘り起こしが発生した地点でのワラビの出現割合の方が高く(図2)、イノシシは選択的にワラビの根茎を掘り起こす。実際に、ワラビの根茎にイノシシの食痕が認められる。
- 以上の結果から、アシュラム剤散布でワラビが枯死すると、ワラビの根茎をねらったイノシシの掘り起こしが発生する。
成果の活用面・留意点
- ワラビ防除のためにアシュラム剤を散布する際には、イノシシの掘り起こしが発生する可能性を考慮して、草地造成や更新の作業工程を見直す必要がある。
- 傾斜地でアシュラム剤を使用する際には、イノシシの掘り起こしによって土壌流出が起きる可能性あるので、注意が必要である。
- アシュラム剤を他の植物に散布した場合や、他の除草剤を草地に散布した場合でもイノシシの掘り起こしが誘発されるかは不明である。
具体的データ



その他