高品質なウンシュウミカンを連年安定生産するための土壌と樹体の一体管理技術体系
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要約
ウンシュウミカンの隔年結果を軽減し高品質果実を安定的に生産するための、マルドリ方式および弱せん定・後期重点摘果を中心とした土壌と樹体を一体的に管理する技術体系である。併せて利用できる樹体診断技術や園地整備技術を含めた技術マニュアルを作成・配布した。
- キーワード:カンキツ、隔年結果、マルドリ方式、弱せん定、後期重点摘果、土壌改良
- 担当:近中四農研・次世代カンキツ生産技術研究チーム
- 代表連絡先:電話084-923-4100
- 区分:近畿中国四国農業・果樹
- 分類:技術・普及
背景・ねらい
ウンシュウミカンの隔年結果は、農家収益を不安定にする大きな要因である。近年の隔年結果は、台風、少雨・干ばつなどの気象環境要因による樹体の衰弱化や、密植や老木化、不十分な土壌管理や結実管理、高糖系品種での管理不足などが原因であることが調査から明らかになっている。また、担い手の高齢化など社会的要因も複合的に関連している。このため、生産現場では、高品質果実を安定生産できる技術への要望が高い。そこで、本技術体系は、地上部と地下部を一体的に管理して、隔年結果の軽減と果実品質の向上を同時に実現することを目的としている。
成果の内容・特徴
- 土壌養水分環境を適正に維持管理するため、透湿性シートマルチと点滴かん水施肥(マルドリ方式栽培)を行うとともに、計画的(通常は2~3年に一度)に高圧剥皮機を利用したタコツボ処理による土壌改良を実施する(図1、図2)。
- 従来よりせん定時期を遅らせ、開花期前後に極めて軽くせん定を行う(弱せん定)とともに、摘果時期も遅らせて着果負担を十分にかけてから摘果を行う(後期重点摘果)ことにより、下垂着果する果実が多くなるように管理する(図3)。
- これらの技術を複数の園地に導入し、連年栽培を継続することにより、高糖系品種および早生品種において、隔年結果軽減や果実糖度向上などの結果が得られている(図4)。
- 本技術体系は、各種の新しい樹体診断技術、園地整備技術、および技術導入による経営評価実証結果と併せて技術マニュアル(図1)として作成され、生産者等は容易に利用できる。
成果の活用面・留意点
具体的データ




その他
- 研究課題名:次世代型マルドリ方式を基軸とするかんきつ等の省力・高品質安定生産技術の確立
- 課題ID:213-f
- 予算区分:地域確立(カンキツ連年生産)
- 研究期間:2003~2007年度
- 研究担当者:平岡潔志、森永邦久、村松昇、島崎昌彦、草塲新之助、星典宏、室岡順一、齋藤仁蔵、迫田登稔、島義史、辻和良(和歌山農総セ)、熊本昌平(和歌山農総セ)、宇治泰博(和歌山農総セ)、山本和博(愛媛農水研)、河野章(愛媛農水研)、山本晴彦(山口大農)、岩谷潔(山口大農)、中村明弘(静岡果樹研)、吉川公規(静岡果樹研)、竹川幸子(静岡果樹研)、江本勇治(静岡果樹研)、澤野郁夫(静岡果樹研)、宮本久美(和歌山果樹試)、森敏紀(和歌山果樹試)、前田隆昭(和歌山果樹試)、森末文徳(香川農試)、山地茂伸(香川農試)、中西正憲(香川農試)、川原清剛(香川農試)、蓮井直樹(香川農試)、末澤克彦(香川農試)、瀧下文孝、内田誠、國賀武、井上久雄(愛媛農果樹セ)、藤原文孝(愛媛農果樹セ)、三堂博昭(愛媛農果樹セ)、山西和廣(愛媛農果樹セ)、山内亜希子(愛媛農果樹セ)、安倍伸一郎(愛媛農果樹セ)、西山富久(愛媛農果樹セ)、高原利雄(果樹研)、深町浩(果樹研)、稗圃直史(果樹研)、佐藤景子(果樹研)、奥田均(果樹研)、今井篤(果樹研)、米本仁巳(果樹研)、牛島孝策(福岡農総試)、大倉英憲(福岡農総試)、矢羽田第二郎(福岡農総試)、井樋昭宏(福岡農総試)、村本晃司(福岡農総試)、松本和紀(福岡農総試)、川本治、福本昌人、吉村亜希子、角川修、大黒正道、田中宏明、中元陽一、畔柳武司、細川雅敏、堀田宗幹(和歌山果樹試)、大橋弘和(和歌山果樹試)、細平正人(和歌山果樹試)、上野山浩司(和歌山果樹試)、前阪和夫(和歌山果樹試)
- 発表論文等:森永ら(2004)、露地栽培ウンシュウミカンにおける周年マルチ点滴かん水同時施肥法の効果、園芸学研究、3(1):33-37