大豆品種「サチユタカ」子実のしわや裂皮は豆腐の加工適性に影響しない

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要約

同一圃場で収穫された「サチユタカ」の子実を整粒、しわ粒、裂皮粒に分別して加工した各豆腐の豆乳収量及び破断応力値間には有意な差はなく、しわ及び裂皮は豆腐加工適性に影響しない。

  • キーワード:大豆、しわ、裂皮、豆乳収量、破断応力値、豆腐加工適性
  • 担当:近中四農研・大豆育種研究近中四サブチーム
  • 代表連絡先:電話084-923-4100
  • 区分:近畿中国四国農業・作物生産、作物
  • 分類:研究・参考

背景・ねらい

大豆種子のしわや裂皮は外観品質を低下させる一因であるが、これらの形質が豆腐の加工適性に及ぼす影響については明らかになっていない。そこで、近畿中国四国地域の基幹品種「サチユタカ」について、同一圃場から収穫された子実を整粒群、しわ粒群、裂皮粒群に分別した後、各々について豆腐を加工して豆乳収量及び豆腐破断応力値を比較し、しわや裂皮が豆腐加工適性に及ぼす影響を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 「サチユタカ」子実を整粒、しわ粒、裂皮粒に分別した後、5倍加水条件で調製した加熱絞り豆乳の収量に関し、整粒群としわ粒群及び裂皮粒群との間には有意差はなく、しわ及び裂皮は豆乳収量に影響しない(図1)。
  • 同様の条件で調製した加熱絞り豆乳を塩化マグネシウムで凝固させた豆腐の破断応力値に関しても、整粒群としわ粒群及び裂皮粒群との間には有意差はなく、しわ及び裂皮は豆腐の固さに影響しない(図2)。
  • 同一の圃場で同時期に収穫された大豆の整粒群、しわ粒群、裂皮粒群の豆乳収量及び豆腐破断応力値に有意差はなく、しわや裂皮は豆腐加工適性に影響しない(図3)。

成果の活用面・留意点

  • 使用した大豆子実は7.9mm篩上の大粒で、病虫害を受けていないものを対象とし、整粒はいっさいしわや裂皮のない子実を、しわ粒は幅約5mm以上のしわ部分を有する子実を、裂皮粒は幅約2mm以上の裂皮部分を有する子実を用いた。
  • 急激な火力乾燥で生じたしわ粒及び裂皮粒、並びに機械的損傷によって種皮が割れた剥皮粒は対象としていない。
  • 全ての供試材料は、近中四管内延べ14府県の農業試験場圃場にて標準耕種方法に準じて栽培されたものである。

具体的データ

図1.サチユタカ整粒、しわ粒、裂皮粒から調製した豆乳収量の比較

図2.サチユタカ整粒、しわ粒、裂皮粒から調製した豆腐の破断応力値の比較注.図1の注と同じ。

図3 同一の圃場で同時期に収穫された大豆の整粒、しわ粒、裂皮粒から調製した豆乳の収量及び豆腐の破断応力値

その他

  • 研究課題名:省力・機械化適性、加工適性、病害虫抵抗性を有する食品用大豆品種の育成と品質安定化技術の開発
  • 課題ID:211-b
  • 予算区分:基盤
  • 研究期間:2004~2006、2008年度
  • 研究担当者:川瀬眞市朗、猿田正恭、菊池彰夫、高田吉丈、岡部昭典