液化仕込み清酒粕は粗飼料の乾物分解率を上昇させる
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要約
液化仕込み清酒粕添加は粗飼料のin vitro乾物分解率を向上させる。この作用は添加量が多いほど強く表れ、0.1g/25mlで最大となり、それ以上の添加効果はない。液化仕込み清酒の粗飼料分解率向上作用は酵母そのものの作用とほぼ同等である。
- キーワード:液化仕込み清酒粕、動物栄養、培養、粗飼料、分解率
- 担当:近中四農研・粗飼料多給型高品質牛肉研究チ-ム
- 代表連絡先:電話0854-82-0144
- 区分:近畿中国四国農業・畜産草地、畜産草地
- 分類:研究・参考
背景・ねらい
液化仕込み清酒粕とは米を高温下で酵素処理したものに麹、酵母を加え清酒を醸造した際の残さであり、主体は酵母である。現在、日本酒の製造過程で大量に発生し、その処理が問題になっている。液化仕込み清酒粕はタンパク質飼料源としての利用が考えられるほか、第一胃内微生物活性化作用等の機能性も期待できる。このため、液化仕込み清酒粕が粗飼料の分解性に及ぼす影響を、各種粗飼料への効果、添加量の効果、経時的効果について検討する。
成果の内容・特徴
- 液化仕込み清酒粕の添加によって粗飼料のin vitro分解率は粗飼料の種類によらず有意(p<0.01)に増加する(表1)。
- イタリアンライグラスの分解率は添加量の増加にともない増加するが、添加量が0.1g/25mlで最大となり、それ以上の添加効果はない(表2)。
- イタリアンライグラスの分解率に対する液化仕込み清酒粕の添加効果は培養24時間後に大きく、効果は酵母とほぼ同等である。(表3)。
- 以上の結果から、液化仕込み清酒粕は粗飼料の乾物分解率を上昇させる。
成果の活用面・留意点
- 液化仕込み清酒粕給与による粗飼料分解性向上に関する基礎的知見である。
- 実際の牛への給与による繊維消化率の改善の程度や可給量は今後検討する必要がある。
具体的データ



その他
- 研究課題名:近畿中国四国地方に多い中山間地域の小規模分散型土地条件下(耕・草・林地等多用な土地の複合的な放牧利用)における黒毛和種経産牛の肥育技術の開発
- 予算区分:基盤研究費
- 課題ID:212-d
- 研究期間:2006~2008年度
- 研究担当者:安藤 貞、西口靖彦、早坂貴代史(畜草研)、安藤 哲、家藤治幸(酒総研)
- 発表論文等:農村工学会論文集(2008年12月)