良質で食味がすぐれる低アミロース水稲新品種「姫ごのみ」
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要約
水稲「姫ごのみ」は温暖地西部において中晩生熟期の低アミロース極良食味系統である。移植、直播栽培ともに「ヒノヒカリ」、「柔小町」より玄米品質が優る。
- キーワード:イネ、低アミロース、良質、良食味、中晩生
- 担当:近中四農研・米品質研究近中四サブチーム(兼:低コスト稲育種研究近中四サブチーム)
- 代表連絡先:電話084-923-4100
- 区分:近畿中国四国農業・作物生産、作物
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
温暖地の農家において、粘りがあって柔らかい米を差別化商品として経営の柱の1つとした作付けをしたいと希望しても、品質の良い中晩生熟期の低アミロース品種がない。このため、このような形質をもった低アミロース品種を育成する。
成果の内容・特徴
- 水稲「姫ごのみ」は極良食味低アミロース米の「ミルキークイーン」を母とし、縞葉枯病抵抗性、良質良食味の「中国169号」を父として行った組合せから固定選抜した(表1)。
- 育成地における普通期栽培での出穂期は低アミロース米の「柔小町」より6日早く、「ヒノヒカリ」と同等の“中生の晩”に属する粳種である(表1)。
- 稈長は「ヒノヒカリ」と同等で、穂長は2cm程度長く、草型は“中間型”である(表1)。
- 穂発芽性は“やや難”である。耐倒伏性は「ヒノヒカリ」と同等の“やや強”である(表1)。
- いもち病真性抵抗性遺伝子は“Pia”を持つと推定される。葉いもち圃場抵抗性、穂いもち圃場抵抗性ともに“中”である。縞葉枯病には抵抗性で、白葉枯病抵抗性は“中”である(表1)。
- 収量は移植栽培において「ヒノヒカリ」、「柔小町」よりやや多収である。湛水直播栽培においては、「ヒノヒカリ」よりやや多収である(表1)。
- 玄米の外観品質は移植栽培において「ヒノヒカリ」、「柔小町」より優る。湛水直播栽培においては「ヒノヒカリ」より優る(表1)。
- アミロース含有率は8.4%程度でよく粘り、食味は「ヒノヒカリ」並の“上中”である(表1)。「コシヒカリ」に混米したおにぎりの食味は向上する(表2)。
成果の活用面・留意点
- 適応地帯は関東以西の温暖地の平坦部、準平坦部に適する。
- 2010年度は岡山県瀬戸内市にて、少なくとも1.2haの作付けが予定されている。
- 低アミロース米のため、玄米はやや白濁する。
具体的データ


その他
- 研究課題名:耐倒伏性、病害複合抵抗性を付与した温暖地西部での低コスト栽培向き水稲品種の育成
- 中課題整理番号:311a
- 予算区分:基盤
- 研究期間:1999~2009年度
- 研究担当者:飯田修一、出田収、松下景、春原嘉弘、根本博、前田英郎、石井卓朗、田村泰章