ホウレンソウのアスコルビン酸含量は収穫前日の日射量により変動する

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要約

ホウレンソウの生体重当たりアスコルビン酸含量は、収穫前日の日射量の影響を強く受け、1日ごとに変動している。その主な変動要因は、乾物重当たりアスコルビン酸含量の増減である。

  • キーワード:ホウレンソウ、アスコルビン酸含量、日射量
  • 担当:近中四農研・環境保全型野菜研究チーム
  • 代表連絡先:電話0773-42-0109
  • 区分:近畿中国四国農業・野菜、野菜茶業・野菜栽培生理
  • 分類:研究・参考

背景・ねらい

アスコルビン酸含量はホウレンソウの重要な品質指標の一つである。遮光栽培したホウレンソウのアスコルビン酸含量は遮光除去後2日程度で無遮光と同程度まで増加することから(園学研7:399-405)、収穫前1~2日間の栽培条件がアスコルビン酸含量に大きく影響することが示唆される。そこで、アスコルビン酸含量の高いホウレンソウを収穫するために、収穫前の日射量と気温がアスコルビン酸含量の変動に及ぼす影響を1日ごとに調査し、また、その際のアスコルビン酸含量の変動要因を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • ホウレンソウのアスコルビン酸含量は1日ごとに変動しており、その変動は、収穫前日の日積算日射量の変動傾向と類似の傾向を示す。一方で、収穫前日の日平均気温の変動はアスコルビン酸含量の変動との明確な関係が認められない(図1)。
  • 収穫前日の日積算日射量はアスコルビン酸含量と強い正の相関関係を示す。一方で、収穫3日前、収穫2日前の日積算日射量および収穫当日午前9時までの積算日射量とアスコルビン酸含量との間には明確な相関は認められない。また、平均気温とアスコルビン酸含量との間にも明確な相関が認められない(表1)。
  • 生体重当たりアスコルビン酸含量の変動と乾物重当たりアスコルビン酸含量の変動は類似している。よって、1日ごとの生体重当たりアスコルビン酸含量の主な変動要因は、アスコルビン酸の量そのものの増減である(図2)。

成果の活用面・留意点

  • 雨よけ栽培によるものであり、6月、10月播種の栽培においても同様の結果が得られている。
  • アスコルビン酸含量は小型反射式光度計で測定したものである。

具体的データ

図1 収穫前日の日射量および日平均気温の変動と生体重当たりアスコルビン酸含量の変動の比較

表1 日積算日射量、日平均気温と生体重当たりアスコルビン酸含量の相関係数

図2 生体重当たりアスコルビン酸含量と乾物重当たりアスコルビン酸含量の変動の比較

その他

  • 研究課題名:中山間・傾斜地における環境調和型野菜花き生産技術の開発
  • 中課題整理番号:214u
  • 予算区分:基盤、委託プロ(温暖化)
  • 研究期間:2006~2009年度
  • 研究担当者:吉田祐子、浜本浩