雑草種子の少ない目土は畦畔造成年のシバ被度の拡大に効果がある

要約

シバ植栽時における雑草種子の少ない購入真砂土の目土利用は圃場真砂土に比べて、2回除草では造成年のシバ被度の拡大は大きく、植被率は小さい一方、雑草の群落高と雑草量は除草日に関わらず小さくなる。

  • キーワード:シバ被度、植被率、畦畔造成、目土、除草回数
  • 担当:近中四農研・カバークロップ研究近中四サブチーム
  • 代表連絡先:電話084-923-5343
  • 区分:近畿中国四国農業・作物生産、共通基盤・雑草
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

畦畔の省力管理では、年間を通じて群落高は低く、雑草量が少ない畦畔植生が望まれる。これに適する草種としてシバを畦畔造成時に導入する場合、土壌侵食防止の観点からシバ被度の拡大を主とする植被率の迅速な増加が好ましい。そこで、造成時の目土として雑草種子の混入の程度が異なる真砂土(以下、目土種類)、除草回数および施肥法の違いが、造成年のシバ被度、植被率、群落高および雑草量に及ぼす効果を明らかにし、畦畔造成時のシバ植栽法の改善に資する。

成果の内容・特徴

  • 目土種類と除草回数はシバ被度に対して主要因としての効果を示し、それぞれ21%、53%の寄与率を示すが、施肥法の効果は示されない(表1、2)。
  • 2回除草の購入真砂土では、圃場真砂土に比べて、シバ被度の拡大は大きい一方、植被率は小さい。1回除草の購入真砂土では、圃場真砂土より、シバ被度の拡大は大きい傾向の一方、植被率は小さい。完全除草においては、シバ被度、植被率の拡大ともに、購入真砂土では圃場真砂土より大きい(表3)。
  • 2回除草、1回除草とも除草日に関わらず、雑草の群落高と雑草量は、購入真砂土が圃場真砂土に比べて小さい(表4)。

成果の活用面・留意点

  • 畦畔造成時の目土として雑草種子を混入しない購入真砂土は入手し易く、二重ネット工法、ポット苗法によるシバ植栽時の目土として活用できる。
  • 購入真砂土には雑草種子の混入は無い一方、圃場由来の目土には圃場の雑草管理の状況によって雑草種子が相当量含まれる。畦畔造成時には、購入真砂土あるいは圃場真砂土のどちらか一方が目土として利用されるが、本試験では雑草種子量および土性が中間の目土種類として、混合土を設けた(表1)。なお、購入真砂土を目土としたところに発生した雑草は、試験期間中の降雨時にポットに移入したメヒシバ種子や風散布によるキク科植物種子の移入による。
  • 除草回数において、本試験の2回除草は水田畦畔管理作業のイネ作付け前の5月、梅雨明け後の7月、収穫前の9月の年3回刈り、1回除草は7月除草を略した場合に相当し、完全除草は除草ロボットによる2週間隔刈りを想定する。なお、除草時の刈高については検討を要する。

具体的データ

表1.材料および方法

表2.シバ被度(%)に対する目土種類、除草回数および施肥法を    主要因とする分散分析表

表3.目土種類と除草回数がシバ被度と植被率に及ぼす影響

表4.目土種類と除草回数が除草日の群落高および雑草量 に及ぼす影響

その他

  • 研究課題名:カバークロップ等を活用した省資材・環境保全型栽培管理技術の開発
  • 中課題整理番号:214c
  • 予算区分:基盤
  • 研究期間:2006-2010 年度
  • 研究担当者:伏見昭秀