豆腐加工適性評価のための少量大豆子実による豆腐物性測定手法
要約
10gの整粒大豆子実から簡便に加熱絞り豆乳を抽出し、これから直径12mmの豆腐を加工して物性測定を行う。この豆腐試料はサイズが小さいので、試料全体を圧縮する全体圧縮物性測定法による物性測定が可能である。
- キーワード:ダイズ、小サイズ豆腐、物性測定、加熱絞り豆乳
- 担当:近中四農研・大豆育種研究近中四サブチーム
- 代表連絡先:電話084-923-4100
- 区分:近畿中国四国農業・作物生産、作物
- 分類:研究・参考
背景・ねらい
これまで物性測定のための豆腐加工には50g前後の大豆子実が用いられてきたが、6倍加水条件で加工するため大豆摩砕物量が多くなり、均一かつ充分な加熱が困難で安定的な豆腐加工の障害となっていた。また、大豆育種現場においてより少量の子実による簡便な豆腐加工適性評価が可能になれば、より多くの育種材料を評価できるようになり、豆腐加工適性の高い系統の効率的な選抜が可能になる。
そこで、少量の大豆子実を材料として加熱絞り豆乳を抽出し、これから豆腐を加工して物性測定を行う手法を開発する。
成果の内容・特徴
- 少量の原料大豆による豆腐加工および物性測定は図1の手順で行う。測定に必要な子実量は10gであり、少量で豆腐を加工して物性測定を行うことが可能である。
- 少量であっても、電磁調理器の使用により確実に大豆摩砕物の加熱ができる。また、金属製網の使用により加熱した粘度の高い大豆摩砕物から簡便に加熱絞り豆乳が濾過できる。
- 電磁調理器や板厚1mmのステンレス容器、5ml容プラスチック容器、30メッシュ金属製網、アスピレーターなどの比較的安価な物品で簡便に加熱絞り豆乳を原料とする直径12mmの豆腐を加工できる(図2)。
- 豆腐サイズは小さいので、従来の貫入測定による豆腐の部分的な物性測定ではなく、試料全体の物性を測定する全体圧縮測定法を適用できる。
- 既存の方法で加工した豆腐と破断応力を比較すると、両者の間に5%水準で正の有意な相関が認められ、従来と同等の基準で豆腐物性を評価できる(図3)。
成果の活用面・留意点
- 使用した大豆子実は7.9mm篩上で病虫害を受けていない整粒を対象とした結果である。
- 10gの大豆子実で豆腐物性測定が行えるので、既存法では豆腐調製が困難なほど子実量が少ない系統の選抜においても豆腐加工適性評価が行える。
- 物性測定にはレオメーターを必要とする。
- 本法で調製する豆腐は少量のため、食味試験を行うのは困難である。
具体的データ



その他
- 研究課題名:省力・機械化適性、加工適性、病害虫抵抗性を有する食品用大豆品種の育成と品質安定化技術の開発
- 中課題整理番号:211b
- 予算区分:基盤
- 研究期間:2006~2010 年度
- 研究担当者:川瀬眞市朗、猿田正恭、菊池彰夫、高田吉丈、岡部昭典