ポイント
- 極早生多収の稲ホールクロップサイレージ用新品種「なつあおば」を開発しました。
- 熟期の異なる飼料用稲品種と組み合わせることで、稲ホールクロップサイレージの収穫適期が拡大し、機械体系を変えずに栽培面積を増やすことができます。
- 縞葉枯病に対し抵抗性があり、稲麦二毛作地帯における麦収穫後の栽培に適しています。
- 本品種の普及により、水田の有効活用による飼料用稲の生産促進が期待されます。
概要
- 農研機構 中央農業総合研究センター【所長 佐々木昭博】では、飼料用稲の作期分散を可能とする、飼料用稲の新品種として「なつあおば」を開発しました。
- 「なつあおば」は、普及見込み地帯の埼玉県において極早生の熟期の品種です。「なつあおば」を導入することにより、従来、9月下旬から始まる飼料用稲の刈り取りが9月上中旬から開始できるようになり、飼料用稲の作期幅が広がります。これにより、飼料用稲収穫機の稼働面積を拡大して、刈り取り作業の効率化を図ることができます。また、刈り遅れによるサイレージ品質の低下を防ぐとともに、後作小麦の播種作業の遅れを回避できること等が実証されました。
- 「なつあおば」の耐倒伏性は強く、多収で、湛水直播適性があるので、低コスト栽培が可能です。また、縞葉枯病に対して抵抗性があり、この病気が発生しやすい稲麦二毛作地帯における麦収穫後の栽培に適しています。
- 「なつあおば」の普及によって、水田の有効活用による飼料用稲の生産促進が図られ、食料自給率の向上と耕作放棄地の減少、かつ、生産農家の収益向上の一助になることが期待されます。
- なお、本研究は農林水産省委託プロジェクト「粗飼料多給による日本型家畜飼養技術の開発」の成果です。また、本品種は8月25日に品種登録出願公表されました。