プレスリリース
籾がらが有用な資源に変わる!!

- 籾がら燃焼灰の高溶解性ケイ酸質肥料化法 -

情報公開日:2005年2月 7日 (月曜日)

独立行政法人 農業・生物系特定産業技術研究機構 中央農業総合研究センター
有限会社 高田エンジニアリング

要約

中央農業総合研究センターは(有)高田エンジニアリングと共に「籾がら燃焼灰の高溶解性ケイ酸質肥料化法」を開発し、特許出願した。

籾がらは国内で年間約200万トン、世界では1億トン生産され、カントリーエレベータなどへ集まる乾燥したバイオマスという有利な特徴があるが、20%もの灰の廃棄が課題であった。

出願特許は、高品質で溶解性の高いケイ酸質肥料資材の生産を可能とする籾がらの燃焼条件を明らかにしたものであり、「空気吹き込み式撹拌流動層燃焼炉」を用いることによって、籾がらの熱エネルギーと灰を有効に利用する技術として実用化できる。

籾がらのケイ酸肥料化

高温で燃焼させた籾がら灰は、90%余りを占めるケイ酸が不溶化して肥料としての価値がなくなる。しかし、低温で燃焼させた籾がら灰は、非晶質の溶解性の高いケイ酸資材となり(図1)、水田に施用すると土壌溶液のケイ酸濃度を高める効果が高く(図2)、水稲収量も高まる(図3)。

図1 燃焼温度の異なる籾がら灰の溶解性
図2 新たな温度条件で燃焼した籾がら灰施用土壌の溶液中ケイ酸濃度(ポット試験、栽培期間平均)
図3 籾がら灰を施用した水稲の収量(ポット試験)

籾がら低温灰化技術

原型が約15年前に開発された「空気吹き込み式撹拌流動層燃焼炉」の制御系を改良し、出願特許に示す籾がらから高溶解性ケイ酸質肥料を製造するのに適した燃焼条件を実現した(図4)。これにより、籾がらを高温に遭遇させることなしに燃焼させ、熱エネルギーは発電などに利用した上で、高品質で活性の高い籾がら灰を生産することができる。

図4 籾がら灰のケイ酸質肥料化用の空気吹き込み式撹拌流動層燃焼炉

実用化に向けて

試算では、4,000haから集荷するカントリーエレベータに蒸気発生量4,600kg/hrのボイラーを設置し、年間に3,000~4,000トンの籾がらを処理すれば、360kWh(うち自己消費100kWh)を発電、籾がら灰600~800tを産出して、建設と運営経費を有利に償還できることが見込まれる。 今回、製造・供給が可能なことが明らかになったことから、肥料以外の分野も含めた籾がら灰ケイ酸の利用拡大が期待される。