プレスリリース
農薬適正使用判定サーバシステムの新バージョンを公開

情報公開日:2005年2月 4日 (金曜日)

独立行政法人 農業・生物系特定産業技術研究機構中央農業総合研究センター
独立行政法人 農薬検査所
ソリマチ株式会社

要約

中央農業総合研究センター、農薬検査所、ソリマチは、昨年9月に農薬適正使用判定サーバシステム(以下、農薬ナビ判定サーバという)の公開実証実験を行いました(注)。実験期間(9月16日~10月18日)に450名の利用者登録がありました。これら利用者の意見を参考にシステム実用化のための改良・機能強化を検討し、実用化に不可欠と考えられた6つの新機能を追加しました。

この新バージョンを、農業情報学会シンポジウム2005春(2月8~9日、日本青年館ホテル)で公開します。参加者に試用して頂けるように展示いたします。

また、新バージョン公開実証実験を、2月15日から再開します。以下のURLから利用登録後、無料で利用できます。

注)「農薬適正使用判定サーバシステム」の開発の背景とねらい、システムの特徴と評価については、2004年9月16日プレスリリース「農薬適正使用判定サーバシステムの開発―誤った農薬使用を事前に警告し、適正使用を支援する―」をご参照ください。

システム実用化のための6つの新機能

新機能1:作物名で判定ができる

旧バージョンでは作物コードを指定する仕様になっており、作物名による判定ができない問題点がありました。そこで新バージョンでは、判定に先立ち、対象とする複数の作物コードを自分で選択・グルーピングして、予め自分なりの「作物名」を設定できるようになりました。
これにより判定時に自分で設定した「作物名」を指定すれば、そこにグルーピングされた作物コードを経由して判定ができます。今後、実証実験における利用者の要望を参考にして、利用者全員が共通に利用できる標準的な「作物名」データをシステムに標準装備する予定です。

新機能2:農薬名で判定ができる

旧バージョンでは農薬登録番号を指定する仕様になっており、農業者や農業改良普及員が通常用いている農薬通称名による判定ができない問題点がありました。そこで新バージョンでは、農薬通称名を指定すれば、それに該当する全ての農薬登録番号を自動検索し、判定を行うようにしました。

新機能3:病害虫雑草名で判定ができる

旧バージョンでは病害虫雑草名コードを指定する仕様になっており、病害虫雑草名による判定ができない問題点がありました。そこで新バージョンでは、病害虫雑草名を指定すれば、それに該当する病害虫雑草コードを自動検索し、判定を行うようにしました。

新機能4:多様な様式・形式で判定結果が表示できる

旧バージョンでは個々の利用者のニーズに応じて出力様式・形式を変更することが困難でした。そこで新バージョンでは、判定結果をXMLファイルとして出力する方式を採用しました。このため、判定結果を詳細表示や要約表示、画面で見やすいカラー表示やプリントに適したモノクロ表示などの多様な様式・形式での表示することが可能になりました。現在は4種類の様式・形式を準備していますが、実証実験における利用者の要望を参考に、表示する様式・形式をさらに充実する予定です。 XML:Extensible Markup Languageの略で、日本では「拡張可能なマーク付け言語」と訳されている。

新機能5:誤記のない防除指針・防除基準作成ができる

新バージョンの「防除指針作成支援」機能によって、一度「作物名」設定、農薬選択しておけば、次回からは「作物名」を選択するだけで最新の農薬登録情報が簡単にCSVファイルとしてダウンロードできます。ダウンロードしたファイルを、Excel等の表計算ソフトに取り込み、項目などの並びを修正・編集し、各地域における防除の留意点など追記すれば、「防除指針・防除基準」の作成が簡単になります。
都道府県や農協等が作成する「防除指針・防除基準」では、農薬登録情報の誤記が大きな問題になっていますが、「防除指針作成支援」機能を利用すれば誤記防止が期待できます。実証実験における利用者の要望を参考に、ダウンロードするファイルのデータ形式や編集・追記ソフト等を検討する予定です。

新機能6:携帯電話から利用できる

携帯電話から、農薬容器についている農薬登録番号やバーコード(JANコード)を入力することにより、農薬ナビ判定サーバを利用できるようになりました。これにより、農薬庫や圃場での農作業中に農薬登録情報等を簡単に確認することができるようになります。通常のカメラ(バーコードリーダー)付き携帯電話を利用すれば、バーコードをカメラで読み取ることができ、数字入力の手間が省けます。また誤入力も防げる利点もあります。ただし、公開実証実験開始時にはバーコード利用できる農薬が限られており、今後、農薬工業会など関係機関の協力を得てバーコードデータの整備を行う予定です。

この機能をより簡単な操作で利用するための、農薬ナビ専用JANコード読み取りiアプリを開発しました。これにより、バーコード読み取りから農薬ナビ判定サーバ接続までの一連の操作をより簡単に行うことができます。このiアプリは、現時点ではDoCoMo FOMA900i、901iシリーズ、DoCoMo MOVA505、506シリーズ用が準備されています。実証実験における利用者の要望を参考に、iアプリの対応機種拡大等を検討する予定です。