プレスリリース
そば新品種「とよむすめ」

- たくさん穫れて、健康に良い -

情報公開日:2003年10月17日 (金曜日)

要約

中央農業総合研究センター・北陸研究センターではそば新品種「とよむすめ」(そば農林3号)を育成しました。本品種はやや晩生ですが多収で、千粒重が重く、ルチンが多く、倒伏にやや強く、食味が良い特性を持っています。

研究の背景とねらい

そばは我が国の伝統的食品として親しまれ、国内消費も増加しているが、8割を輸入に頼っている。また、そばには毛細血管の働きを安定・強化させ、脳出血や出血性の病気に予防効果があるといわれているルチンが多く含まれ、健康食品・機能性食品としての評価が高まっている。そこで、国産そば振興のため生産現場からも強い要望がある、収量性があり、高ルチンなどの特徴を持ち、風味の良い品種の育成に取り組んできた。

とよむすめの育成経過と特徴

  • 育成経過
    「葛生在来」を育種素材として、栽培特性が良く、収量性があり、ルチン含量が高い個体を選抜し育成した。
  • 栽培特性(育成地)
    本州で最も多く栽培されている「信濃1号」に比べ、草丈は約20cm長く、主茎節数はやや多く、分枝数は同程度である。1株花房数はやや多い。開花期は やや遅く、成熟期は6日遅い。草丈が長いにもかかわらず倒伏は「信濃1号」に比べやや強い(表1)。
  • 収量等(育成地)
    収量は「信濃1号」に比べ4割多く、千粒重は約2割重く、容積重は約1割重く充実している(表2)。
  • ルチン含量
    ルチン含量は「信濃1号」に比べ約4割多い(図1)。
  • 製粉歩留、食味
    製粉歩留は「信濃1号」と同じで、食味は「常陸秋そば」に匹敵する。

とよむすめの栽培上の留意点

  • 秋そば栽培に利用する。
  • 耐湿性は強化されていないので、排水対策を万全にすること。
  • 脱粒性は改善されていないので、適期収穫に努めること。
  • 計画的な種子更新を計り、特性の維持に努めること。

とよむすめの栽培適地及び栽培県

  • 東北南部から中国地方の地域で秋そばとして適している。
  • 広島県で栽培される予定で、新潟県、福井県、岐阜県、熊本県で有望視されている。

表1 とよむすめの栽培特性の比較

表2 とよむすめの収量等の比較

図1 とよむすめのルチン含量の比較
図1 とよむすめのルチン含量の比較
注:平成12~14年の平均