プレスリリース
野菜の種・苗で誰でも簡単に堆肥の品質評価ができます

- 堆肥の品質評価のための発芽シートと簡易幼植物栽培装置の開発 -

情報公開日:2002年10月16日 (水曜日)

要約

家畜ふん尿や生ゴミなどの「厄介者」を堆肥にして農地にリサイクルすることは、環境保全型農業を推進する上で極めて重要です。

家畜ふん尿は本来、緩効性肥料あるいは土壌改良資材として利用可能な有機性農業資源ですが、必ずしも有効に利用されているとは言えません。その主な理由として、堆肥の品質評価が難しいことがあげられます。

この堆肥の品質を迅速に評価する方法としてコマツナの発芽試験が、また、肥料効果を評価する方法としてノイバウエルポット試験が広く利用されています。

しかし、コマツナの発芽試験は、シャーレ中のろ紙上に種子を一定量(50粒)ならべるなどの手間がかかるため、いくつもの堆肥を評価するのに大変な労力が必要となります。 そこで、畜産草地研究所と民間会社が開発したドット状粘着剤付発芽シート(商品名:たねピタ!)を改良することにより、ポット試験でも種子を正確かつ迅速に配置することが可能となり、作業が大幅に省力化できました。

また、ノイバウエルポット試験を行うには、様々な栽培施設や器具とともに、ある程度の熟練した技術が必要となります。そこで、中央農業総合研究センターは大阪府立食とみどりの総合技術センター及び民間会社と共同して必要な器具をコンパクトにまとめ、バラツキのない安定した環境(温度、光の強度や分布)のもとで誰にでも比較的簡単に堆肥品質の評価を行うことが出来る簡易な幼植物試験栽培装置を開発しました。

これらの開発により、農家や堆肥センターなどの生産現場において、堆肥の品質評価が簡易・迅速に行うことが可能になり、家畜ふん尿や生ゴミの処理・利用に役立つとともに、二酸化炭素の削減にも貢献することが期待されます。

以上の発芽シートと簡易幼植物栽培装置は共同研究を行った民間会社から、「水溶性たねピタ!」と「さいばいくん」の名で発売されることになりました。


詳細情報

発芽シートの概要

発芽シート(たねピタ!)の概要
発芽シート(たねピタ!)の概要

発芽シートを用いたコマツナの発芽試験

発芽シートを用いたコマツナの発芽試験
発芽シートを用いたコマツナの発芽試験
注)発芽試験は発芽シート上に堆肥抽出液を注ぎ行う。

簡易幼植物栽培装置(さいばいくん)

簡易幼植物栽培装置(さいばいくん)
簡易幼植物栽培装置(さいばいくん)
注)コマツナの栽培状況を示す(播種5日後)。

「さいばいくん」を用いたコマツナの栽培試験

「さいばいくん」を用いたコマツナの栽培試験
「さいばいくん」を用いたコマツナの栽培試験
注)左より化学肥料区 、完熟家畜ふん堆肥区、未熟
家畜ふん堆肥区である(堆肥:培養土=1:1)。