中央農業総合研究センター
畜産草地研究所
ポイント
- そのまま給与すると家畜が消化しにくい飼料用米の籾や玄米を、能率良く破砕して消化しやすくできる装置を開発しました。
- 従来の装置に比べ安価で、企業から販売開始されます。
概要
独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)中央農業総合研究センター 【所長 丸山清明】、畜産草地研究所【所長 松本光人】は、飼料用米を籾や玄米の形で家畜に給与する際、消化しやすいよう、飼料用米を特殊形状のロールで効率的に籾・玄米を破砕する装置を開発しました。
飼料用の米を籾や玄米のままで牛や豚に給与すると、消化が悪いので、飼養の効率が下がります。そのため、籾や玄米を事前に破砕する必要があります。しかし、従来の装置による破砕では、作業効率が十分でないという問題がありました。今回開発した破砕装置は、以下のような特徴があり、畜産農家が飼料米を給与する際に自前で破砕処理が行えます:
- 特殊形状のロール(特許申請中)を用いたダブルロールミル方式(逆方向に回転する2つのロールの間で材料を破砕する)により、効率的に籾・玄米を破砕できます。
- 破砕したい材料を上部投入口に投入しただけで作業が行えます。
- 軽トラックの荷台で運搬が可能で、使用場所も選びません。
- 破砕程度は、大半が粒径2mm以下となる強破砕から2.36mm程度の弱破砕まで可変。
- 処理速度は、強破砕の場合でも玄米・籾米ともに時間当たり約1.4tの能力。
この破砕装置により、玄米の給与が向いている豚、籾の給与が向いている乳牛、肉牛それぞれに対して消化のよい飼料用米を簡単に給与できます。
なお、申請中の特許を含むこの技術は、農林水産大臣認定TLOを通じて(株)デリカに供与しており、本装置は、(株)デリカ(本社長野県松本市)から販売されます。
この成果の一部は、農林水産省委託プロジェクト「粗飼料多給による日本型家畜飼養技術の開発」の予算によるものです。