果樹や野菜の重要害虫は、農薬に対する抵抗性を持つようになり防除が難しくなっています。そこで、地域に生息する土着天敵を活用して害虫の発生を効果的に抑制する技術を開発し、これを指導者向けの「最新技術集」としてウェブ公開しました。合わせて、生産者向けに代表的な技術を分かりやすく紹介した「事例集」を公開しました。
概要
- 農研機構は大学並びに県の研究機関と連携し、リンゴやカンキツなどの果樹で問題となっているハダニ類、ナスやネギなどの野菜で問題となっているアザミウマ類などの重要害虫への対策として、土着天敵を活用した防除技術を開発し、その詳細について、病害虫防除所や普及担当機関で技術指導に取り組む者や、天敵利用の高度化を志向する生産者向けに「最新技術集」を取りまとめました。
- 天敵に影響の少ない農薬を選択し、その使用回数を減らすことで土着天敵が圃場で働ける環境を整えます。また、圃場内に天敵が好む植物を植栽するなどの植生管理を行うことによって土着天敵が定着・増殖しやすくします。このような方法で天敵を増やすことにより圃場内の害虫の数を低く保つことができます。
- 加えて、「最新技術集」では、イネの主要害虫ヒメトビウンカの海外からの飛来予測技術、および近年、国内で分布拡大が懸念されている害虫ミナミアオカメムシの分布拡大予測技術とその活用法も紹介しています。
- さらに、天敵利用の経験がない生産者の方にも「土着天敵の活用」に関心を持っていただけるよう、技術のポイントを分かりやすくまとめた「事例集」を作成し、それぞれの技術を実践した農家の声も掲載しました。
- 電子版の最新技術集と事例集(PDF形式)は、下記URLからダウンロードできます。事例集は冊子体も作成しましたのでご希望の方は下記問い合わせ先にe-mailでお申し込みください(部数に限りがあるため配布は先着順となります)。
http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/pub2016_or_later/laboratory/narc/manual/069415.html
- 本成果は、農林水産省農林水産技術会議の委託プロジェクト研究「土着天敵を有効活用した害虫防除システムの開発」(平成24?27年度)により実施したものです。