ポイント
- 農研機構果樹研究所は長野県果樹試験場および青森県産業技術センターりんご研究所と共同で、温暖化に伴って果実の酸含量が減るなどにより、リンゴの甘みが増すという食味の変化が起きていることを明らかにしました。
- 温暖化が原因で農産物の食味が変化していることを立証した初めての成果です。
概要
農研機構果樹研究所は長野県果樹試験場および青森県産業技術センターりんご研究所と共同で、過去30~40年にわたるリンゴの品質データを分析し、温暖化に伴ってリンゴの食味が変化していることを明らかにしました。酸含量は徐々に減る一方、糖含量はやや増加しており、その結果、リンゴが甘く感じられるようになってきています。これまで、温暖化が原因で作物の収量や収穫日が変化していることは知られていましたが、青果物の味が変化している知見が示されたのは世界で初めてのことです。
このような変化が起きた原因は、春先の温度上昇で発芽や開花が早期化し、果実の生育期間が長くなる傾向にあることと、果実の成熟期の温度が高くなり酸含量の減少が進みやすくなることにあると考えられます。
この成果は、温暖化の下でも食味の良い高品質な果実を生産できる新しい温暖化適応技術の開発につながります。
なお、この研究成果は、8月15日に英国の科学誌「Scientific Reports」に掲載されました。
http://www.nature.com/srep/2013/130815/srep02418/full/srep02418.html
予算:農林水産省委託プロジェクト「地球温暖化が農林水産業に及ぼす影響評価と緩和及び適応技術の開発(平成20~21年)」および「気候変動に対応した循環型食料生産等の確立のためのプロジェクト(平成22年~)」