ポイント
・10年間の追跡調査の結果、β-クリプトキサンチンを多く含むウンシュウミカンの摂取が2型糖尿病1)等の生活習慣病の予防に有用である可能性が示唆されました。
・今後、ウンシュウミカンの機能性表示の拡大が期待されます。
概要
1. 農研機構果樹研究所は、浜松医科大学健康社会医学講座、浜松市(旧三ヶ日町(みっかびちょう))と合同で2003年度から継続して栄養疫学調査(「三ヶ日町研究」2))を実施しています。三ヶ日町研究では、ウンシュウミカンに多く含まれるβ-クリプトキサンチンや緑黄色野菜に多いβ-カロテン、葉物野菜に多いルテインなどのカロテノイド色素3)と様々な健康指標との関連を調査しています。
2. 1,073名を対象とした10年間の追跡調査の結果、β-クリプトキサンチンの血中濃度が高い者は2型糖尿病、脂質代謝異常症、及び非アルコール性肝機能異常症(血中高ALT値)の発症リスクが有意に低下することを発見しました。
3. これらの成果を活用し、ウンシュウミカンの機能性訴求ポイントを増やすために産地と検討を進めていきます。
予算:
農研機構「機能性を持つ農林水産物・食品開発プロジェクト」(2014~2016)
果樹試験研究推進協議会委託試験研究(2006~2016)
論文:
1) 血中β-クリプトキサンチンと非アルコール性肝機能異常症発症リスクとの関連について
Sugiura M, Nakamura M, Ogawa K, Ikoma Y and Yano M. High serum carotenoids associated with lower risk for elevated serum alanine aminotransferase among Japanese subjects: Mikkabi prospective cohort study. The British Journal of Nutrition2016 Feb 26:1-8. [Epub ahead of print] PMID: 26916997
2) 血中β-クリプトキサンチンと糖尿病発症リスクとの関連について
Sugiura M, Nakamura M, Ogawa K, Ikoma Y and Yano M. High serum carotenoids associated with lower risk for type 2 diabetes among Japanese subjects: Mikkabi prospective cohort study. BMJ Open Diabetes Research & Care2015; 3:e000147.
3) 血中β-クリプトキサンチンと脂質代謝異常症発症リスクとの関連について
Sugiura M, Nakamura M, Ogawa K, Ikoma Y and Yano M. High serum carotenoids associated with lower risk for metabolic syndrome and its components among Japanese subjects: Mikkabi prospective cohort study. The British Journal of Nutrition 2015; 114(10): 1674-1682.