ポイント
農研機構は、糖含量が高く、越冬性および収量性が高く安定しているオーチャードグラス新品種「えさじまん」について、今後さらなる普及拡大を進めるために、本日、栽培管理法等をまとめた標準作業手順書1)をウェブサイトで公開しました。
概要
近年、自給飼料生産組織等による飼料供給体制が拡大する中で、自給粗飼料の生産管理に係る労働力不足が課題となっています。その解決策の一つが、出穂時期の異なる草種を組み合わせて利用することです。
オーチャードグラスは、チモシーより出穂が早いため、採草地の一部をチモシーからオーチャードグラスに置き換えることで収穫作業の集中を回避することができ、管理面積の拡大が可能になります。
これまで飼料品質や越冬性などの面から利用が拡大していないオーチャードグラスですが、農研機構が雪印種苗株式会社と共同で育成した北海道および北東北地域向けオーチャードグラス新品種「えさじまん」は、既存品種に比べて糖含量が高く、越冬性および収量性が高く安定しており、サイレージ発酵品質が良好です。
このため農研機構では、今後見込まれるオーチャードグラスの利用拡大に向けて、「えさじまん」の利用による自給飼料の高品質化と生産性向上を図るため、栽培管理法等をまとめた「北海道および北東北地域向けオーチャードグラス高WSC2)含量品種『えさじまん』標準作業手順書」 (図1) を作成しました。
標準作業手順書では、「えさじまん」の栄養収量や飼料品質における優位性、導入時に必要な手順、留意点等を解説しています。本手順書を活用することで、「えさじまん」の普及拡大を通した自給飼料生産の拡大が期待されます。
【標準作業手順書掲載URL】
北海道および北東北地域向けオーチャードグラス高WSC含量品種「えさじまん」
https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/laboratory/naro/sop/157430.html
関連情報
予算 : 農林水産省委託プロジェクト研究「食用米との識別性を有する多収飼料用米、TDN収量が高い飼料作物品種の開発」および「栄養収量の高い国産飼料の低コスト生産・利用技術の開発」ならびに運営費交付金
品種登録番号 : 第25796号 (2017年3月15日登録)