プレスリリース
高能率キャベツ収穫機の汎用利用によるハクサイ収穫を実現

- 加工・業務用ハクサイ刈取アタッチメントを開発 -

情報公開日:2016年3月 8日 (火曜日)

ポイント

  • 高能率キャベツ収穫機に簡単装着、加工・業務用ハクサイ刈取アタッチメントを開発
  • 高能率キャベツ収穫機の性能を生かし、ハクサイを一斉収穫

概要

高能率キャベツ収穫機に装着することで、加工・業務用ハクサイ※1の収穫を可能とするハクサイ刈取アタッチメントをヤンマー株式会社と共同で開発しました。

開発したアタッチメントは、高能率キャベツ収穫機の刈取部に簡単に装着することができます。本アタッチメントがハクサイを挟持することにより、確実にハクサイを機上まで搬送します。高能率キャベツ収穫機の性能を生かしたハクサイの一斉収穫が可能となりました。

今後、現地での確認試験を通じて実用化に向けた最終調整を行い、来年度以降の市販化を予定しています。

関連情報

予算 : 運営費交付金

特許 : 出願中

詳細情報

開発の背景と経緯

近年、主要野菜の加工・業務用の出荷割合が増加傾向にあります。ハクサイ収穫では、手作業による収穫作業が一般的で、重量物のため重労働です。一方キャベツ収穫では、主に加工・業務用キャベツを対象とした1条用の高能率キャベツ収穫機(2012年度普及成果情報)が市販化され、機械収穫が導入されつつあります。ハクサイの生産者からはこのキャベツ収穫機のハクサイへの汎用利用を要望されていましたが、刈取部前端でハクサイが倒れてしまう場合があり、そのままでは確実な刈り取りが困難でした。

そこで、平成25年度から、上記キャベツ収穫機を利用した加工・業務用ハクサイの収穫を可能とすることを目的に、ハクサイ刈取アタッチメントの開発に着手しました。今年度までに生研センター附属農場、鹿児島県農業開発総合センター大隅支場および茨城県内の生産者ほ場において収穫試験を実施し、実用化の見通しを得ました。

開発機の概要および性能

  • 開発したハクサイ刈取アタッチメント(以下、アタッチメント)は、Vベルト、プーリ、フレーム部により構成され、高能率キャベツ収穫機の刈取部にボルト止めにより装着されます。高能率キャベツ収穫機の構造を変えることなく後付け可能で、脱着が容易な構造です。掻き込みホイールで引き抜かれたハクサイは、アタッチメントのVベルトでハクサイを挟持することにより姿勢が保持されたまま結球部挟持ベルトへ受け渡します。Vベルトは結球部挟持ベルト部の駆動プーリによって動力が伝達されるため新たな動力が不要で、結球部挟持ベルトと同速となっており、ハクサイは円滑に搬送されます。また、アタッチメント前端の取り込み部挟持幅は止めネジにより調節可能で、ハの字状に閉じた後方部分がバネにより開閉し、ハクサイの大きさに合わせた挟持・搬送が可能です(図1、2)。
  • アタッチメントを装着した場合、ハクサイの搬送率は99%であり、確実にハクサイを機上まで搬送します。
  • アタッチメントを装着した場合の切断精度は、残り外葉枚数が5枚程度になるよう切断刃高さを設定して収穫した場合、9割以上でした(図3)。

今後の予定・期待

開発したアタッチメントにより高能率キャベツ収穫機のハクサイへの汎用利用が可能となり、大型コンテナ利用による出荷経費の削減に貢献できると期待されます。

今後、作業能率、取扱い性等の向上をはかり、来年度以降の市販化を予定しています。

用語の解説

※1 加工・業務用ハクサイ : 主に漬物、キムチなどの加工原料または外食・中食企業の業務用材料として利用されています。

図1 ハクサイ刈取アタッチメントを装着した高能率キャベツ収穫機

図2 ハクサイ刈取アタッチメント概略図

図3 切断刃高さと切断精度、残り外葉枚数