ポイント
- 農研機構農業技術革新工学研究センターでは、今年度より安全性検査を開始。
- 安全装備検査、安全キャブ・フレーム検査、ロボット・自動化農機検査の3種類。
- 今後急速な普及を見込むロボット農機にも対応した先進的な検査体制を新設。
概要
農研機構農業技術革新工学研究センター(農研機構革新工学センター)は、今年度より農業機械の検査・鑑定制度を見直し、従前の農業機械化促進法に代わり、農研機構法に基づいた「安全性検査」を新たに開始いたしました。農業機械化促進法は平成30年4月1日をもって廃止され、これに伴い平成29年度まで同法に基づいて実施してまいりました、農機具の型式検査及び鑑定(安全鑑定、任意鑑定など)はいずれも廃止となりました。その一方で、農作業事故による死傷事例は高止まりの傾向もみられ、農作業の安全性確保のため、農業機械の安全性確認はより重要度が増しております。また、本年は農業ロボット元年ともいわれるように、自動化農機やロボット農機の普及が今後急速に進展すると予想されます。これら先進的な農業機械の安全性確認に対応できる、新しい検査制度の整備も急務となっています。
このような背景を受けた検査・鑑定制度の見直しのなかで、下記の3種類に分類される農業機械の安全性検査を新たに設け、運用を開始いたしました(図1、図2)。
平成30年度からの安全性検査について
- 安全キャブ・フレーム検査(旧来の型式検査(安全キャブ及び安全フレーム)を拡充)
農用トラクター(乗用型)、農用運搬機(乗用型)及び座席を有するほ場内運搬機にそれぞれ装備される運転者を防護する装置を対象に、強度や安全空間が確保できるか等について検査し、転倒・転落事故の重大化の防止につなげる。 - 安全装備検査(旧来の安全鑑定を強化・拡充)
各種農業機械における安全装備について安全装備の確認項目及び安全性検査基準に基づいて検査し、安全な農業機械の普及を促進して事故防止につなげる。 - ロボット・自動化農機検査(新設)
ロボット農機(使用者がほ場内やほ場周辺から監視しながら、無人でほ場内を自動運転させる農用トラクター(乗用型)に適用)や自動化農機(ほ場内で使用する自動操舵機能を有し、運転者の乗車を必要とする農用トラクター(乗用型)、田植機、コンバイン(自脱型)、コンバイン(普通型)に適用)の先進的な機械・装置の安全性について検査し、ロボット農機の普及を促進して農作業の安全確保につなげる。
なお、今後の検査結果につきましては、おおむね各月ごとにプレスリリースとして公表してまいります。
機種名 | 依頼者名 | 型式名 | ||||||||||||||||||||
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農用トラクター(歩行型) | 株式会社クボタ | クボタ TS350WN | ||||||||||||||||||||
ケーンハーベスター | 株式会社くみき | YT8000 | ||||||||||||||||||||
農用トラクター(乗用型) | AGCO Limited | MF4707-4C | ||||||||||||||||||||
エム・エス・ケー農業機械株式会社 | F1050VARIO S4 | |||||||||||||||||||||
玉ねぎ茎葉処理機 | ヤンマーアグリ株式会社 | ヤンマー Z0049 |

図1 農業機械の検査・鑑定制度の見直し

図2 新しい検査証票