プレスリリース
株出し栽培で多収、12月収穫が可能なさとうきび新品種「Ni22」を育成

- 平成18年度農林水産省農作物新品種 -

情報公開日:2006年10月19日 (木曜日)

育成のねらい

鹿児島県熊毛地域では、12月から4月にかけてサトウキビの収穫が行われます。「NiF8」が収穫面積の98%を占めていますが、12月収穫では糖度が低く、収穫後の萌芽が不良で株出し栽培の収量が不安定という問題を抱えています。

奄美地域では、収穫面積の減少や単収低下により、サトウキビの生産量が減少しています。「NiF8」が収穫面積の61%を占めていますが、株出し栽培で収量が低いことが多いという問題を抱えています。

そこで、株出し栽培で多収となり、早期高糖性で12月初旬の収穫が可能な品種を育成し、鹿児島県南西諸島地域におけるサトウキビ生産性の向上を図ります。

 

来歴の概要

「Ni22」は、平成7年に「KF89-66」の自然受粉により種子を得、実生選抜以降、早期収穫適性、萌芽性を重視して選抜、育成した品種です。

 

命名の由来

さとうきび命名の国際的慣例に従い、日本で育成したことを示す「Ni」に、日本で命名登録した22番目の育成品種であることを示す「22」を続けて、「Ni22」としました。

 

新品種の特徴

  • 発芽、萌芽、分げつ性に優れ、生育初期から茎伸長が良い。
  • 鹿児島県南西諸島地域において、春植え、株出しともに可製糖量は「NiF8」と同程度か多い。
  • 熊毛地域と徳之島の新植、および株出し栽培の12月収穫では、甘蔗糖度は「NiF8」と同程度で、原料茎重が重く可製糖量が多い。

 

今後の展開(普及の見通し)

「NiF8」の代替として、「NiF8」の糖度が低い地域、株出し栽培での収量が不安定な地域を中心に、鹿児島県熊毛地域600ha、奄美地域2000haの普及を見込んでいます。
12月収穫を推進する地域での活用は特に有効です。
Ni22は農林水産省委託プロジェクト「新鮮でおいしい「ブランド・ニッポン」農産物提供のための総合研究」の成果で、現在、品種登録出願中です。

 

問い合わせ先(育成機関)

九州沖縄農業研究センター さとうきび育種ユニット
担当者名:松岡 誠 Tel:0997-25-0100

 

参考データ

ni22-1

 

ni22-2

 

ni22-3

 

ni22-4

 

ni22-5
さとうきび新品種「Ni22」(左:NiF8、右:Ni22)

 

yougo