プレスリリース
茎伸長が優れ多収なサトウキビ新品種「Ni23」を育成

- 平成18年度農林水産省農作物新品種 -

情報公開日:2006年10月19日 (木曜日)

育成のねらい

鹿児島県奄美地域のサトウキビ栽培は、5つの島(奄美大島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島)で行われており、鹿児島県の全生産量557,666tの約70%(2003/2004年期)を占めています。同地域の主要品種は「NiF8」(61%)、「F177」(26%)ですが、「NiF8」や「F177」は干ばつ条件下で少収になりやすいという欠点があります。2003年から萌芽性が良好で、風折抵抗性に優れる「Ni17」の普及を進めていますが、これも干ばつ条件下では少収になりやすい品種です。そこで、夏季に干ばつに見まわれた年でも収量が多い品種を育成し、同地域におけるサトウキビ生産性の向上を図ります。

来歴の概要

「Ni23」は、早期高糖で多収の「NiF8」を種子親に、萌芽、分げつに優れる多収の「Ni9」を花粉親にして1994年に交配を行った組み合わせから育成されました。

命名の由来

さとうきび命名の国際的慣例に従い、日本で交配、育成したことを示す「Ni」に、日本で命名登録した23番目の育成品種であることを示す「23」を続けて、「Ni23」としました。

新品種の特徴

  • 発芽、萌芽、茎伸長が優れ、奄美地域において春植え、夏植え、株出しのいずれの作型でも、「F177」よりも原料茎重が多い。
  • 奄美地域における甘蔗糖度は春植え、夏植え、株出しのいずれの作型でも「F177」より高く、可製糖量も多い。
  • 7、8月に干ばつが発生した年でも生育が良く「NiF8」、「F177」、「Ni17」より原料 茎重が重く、可製糖量が多い。
  • 強風による折損が発生しやすい。
  • 収穫後の品質劣化性は、製糖初期から中期は「F177」と同程度かやや高く、製糖後期にはより高くなることがある。

今後の展開(普及の見通し)

鹿児島県が奄美地域を対象に奨励品種として採用し、普及の準備を進めている。干ばつが発生しやすい地域での「F177」の代替として、1000haの普及を見込んでいます。現在、品種登録出願中です。

問い合わせ先(育成機関)

九州沖縄農業研究センター さとうきび育種ユニット
担当者名:松岡 誠、電話:0997-25-0100

参考データ

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サトウキビ新品種「Ni23」

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