プレスリリース
さとうきび先端部を牛の飼料として有効活用

- サイレージ品質は輸入牧草並で、乳牛の嗜好性も良好 -

情報公開日:2006年9月21日 (木曜日)

さとうきびは南西諸島における基幹作物です。製糖原料にはさとうきびの茎の部分を用いますが、さとうきびの先端部は糖が少なく製糖には不向きなため、一部の飼料利用や堆肥利用を除いて、その多くは廃棄処分されています。そこで、先端部の有効利用を図るため、乳牛用のサイレージ(青刈りした後に乳酸発酵させた飼料)としての適性を検討したところ、サイレージ発酵品質が良く、嗜好性がすぐれ、エン麦などの輸入乾草の代替として十分に利用できることがわかりました。さとうきび生産の副産物であった先端部を乳牛用の粗飼料として活用することで、さとうきび生産や酪農経営の低コスト化につながるばかりではなく、粗飼料自給率向上にも大いに期待できます。

 

背景とねらい

さとうきび生産の副産物である先端部は一部、生のままで牛の飼料に利用されています。しかし、サイレージとして貯蔵した場合の保存性や発酵品質、乳牛への給与方法等については不明な点が多く、これまでサイレージ利用は進んでいませんでした。そこで、先端部の飼料成分や発酵品質、泌乳成績などを調べ、乳牛用粗飼料としての有効性を検討しました。

 

成果の内容

さとうきび先端部を2~3センチ程度に細断してサイレージを調製しました(写真1)。
このサイレージを飼料に25%程度(乾燥重量)混ぜて、乳牛(体重約600kg、泌乳量約27~35kg/日)に給与しました。
この結果、以下のことが分かりました。

 

  • さとうきび先端部には、エン麦やスーダングラスなどの輸入粗飼料と同等の飼料価値があります(表1)。
  • サイレージの発酵品質は良好で、保存性もよく通年給与できます。
  • エン麦乾草の代わりに、さとうきび先端部のサイレージを乳牛に与えても、エサの食い込み量や乳量に差はありません(表2)。
  • 乳脂肪や乳タンパク質等の牛乳の品質にも変化はありません(表3)。

 

今後の展開

さとうきび先端部のサイレージは、乳牛だけでなく肉用牛の自給粗飼料として有望です。

 

学会発表

この内容は、9月18日(月曜日)~22日(金曜日)において韓国(釜山)で開催される第12回アジア大洋州畜産会議で発表します。

 

参考データ

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写真1:さとうきび先端部

 

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写真2:さとうきび先端部のサイレージ調整

 

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写真3:さとうきび先端部のサイレージを食べている牛

 

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