九州沖縄農業研究センターでは、米、麦、サツマイモ等の農作物について新品種開発や加工利用の研究を行っています。
農作物は、一般に、生食や加工食品として利用されてますが、今回は、観賞用として開発されたイネ、サツマイモ及びイチゴの品種を紹介します。これらのうち、観賞用イネは穂が美しく、棚田の景観作物として、また、生け花、ドライフラワー等に適しています。茎葉が鮮やかな紫色をした観賞用サツマイモは、初夏から盛夏期のガーデニングプラントとして楽しめます。美しいピンク色の花を咲かせる観賞用イチゴは、収穫量も多い、生食・鑑賞兼用の品種です。
ピンク色の芒(ぼう)がきれいな観賞用イネ「西海観246号」
「西海観246号」は、長い芒(ぼう)を有し、芒の色は出穂直後はやや淡いピンク色ですが、出穂から4~5日すると鮮やかなピンク色になります。出穂してから、約10日間が見頃となります。棚田での景観用や切り花などの鑑賞用として利用できます。出穂は「ヒノヒカリ」より10日程遅く、倒れにくく作りやすい「もち米」の品種です。収穫量は普通のもち米品種の8割くらいです。米の色はやや赤みを帯びていますが、精米すると赤みが取れ、普通のもち米のように白くなります。餅の食味はやや固めで、おこわ等に利用できます。
(平成15年育成)
茎葉が濃い紫色の観賞用サツマイモ「九育観1号」
「九育観1号」は、茎葉部が濃い紫色で、ハート型の葉を持つ観賞用のサツマイモ品種でサントリーフラワーズ株式会社との共同研究による成果です。既存の黄葉の観賞用サツマイモ品種(「テラス・ライム」:サントリーフラワーズ株式会社)と寄せ植えすると、ユニークな色合いが一層引き立ちます。花の少ない夏の花壇のアクセントとして利用できます。
(平成16年育成)
食べてもおいしい観賞用紅花イチゴ「久留米IH4号 」
イチゴの花色は白色が一般的です。鮮やかなピンク色の花を咲かせ、やがて、赤色の果実がたわわに実らせる鉢植えのイチゴは秋から冬春期のインドアプランツとして好適です。また、グリーンの芝生や花壇周りに栽植するガーデニング材料としても利用できます。最近、これらの用途向けの品種が育成されていますが、観賞性はあるものの食味や着果が劣ることが欠点です。 「久留米IH4号」は、十分に生食でき、実もたくさん付きという生食・鑑賞兼用の品種です。
(平成14年育成)