育成のねらい
カンショの用途拡大を図るため、バレイショのように幅広い料理に利用できる新しいタイプのカンショ品種が求められている。「サツマヒカリ」(昭和61年に育成)はβ-アミラーゼ活性を欠いた甘くない加工用品種であるが、でん粉歩留が一般品種並みであるため、乾燥フレークなどの一次加工製品への利用が主であり、調理加工用として普及しなかった。そこで、低糖かつ低でん粉で、蒸しいもの特性がバレイショに近く、いもの形状や揃いなどの加工適性が優れた品種を育成しようとした。
3.来歴の概要
早掘に向く「ベニワセ」を母、低糖でいもの外観が優れる「サツマヒカリ」を父として昭和59年に交配して以降、平成6年まで選抜試験を継続したが、普及見込みがなかったため、試験を中断した。その後、調理適性に興味をもった沖縄県から試験再開の要望があり、平成14年から「九州147号」として生産力検定試験に再供試し、地域適応性並びに加工適性を検討してきた。
4.命名の由来
沖縄で注目されたいもの皮色が黄金色である品種であることを表す。
5.新品種の特徴
- 加熱調理してもマルトースが増加しないため甘味が少ない。
- でん粉歩留が「コガネセンガン」より5.5%、「サツマヒカリ」より2.8%低い。
- いもの形状は「短紡錘形」で、外観は「やや上」である。
- 貯蔵性は「易」であり、貯蔵しやすい。
- いもの皮色は「淡黄褐」、肉色は「淡黄白」である。
- サツマイモネコブセンチュウに「中」、ミナミネグサレセンチュウに「やや強」、黒斑病に「中~やや強」である。
今後の展開(普及の見通し)
全国のかんしょ作地帯に適するが、当面は沖縄県での普及を予定(読谷村と周辺市町村を含め10ha程度)
地上部
かんしょ「オキコガネ」