プレスリリース
耐倒伏性が極めて強い夏播用極早生品種「たちあかね」(えん麦農林11号)

- 九州沖縄農業研究センター育成品種の紹介 -

情報公開日:2004年9月30日 (木曜日)

育成のねらい

早期水稲あるいはトウモロコシ等の後作として位置づけられる夏播エンバクの栽培の省力化と高品質化をねらって、耐倒伏性および冠さび病等の耐病性を強化しました。

来歴の概要

夏播きで秋の出穂が早い「Guelatao」(メキシコから導入)を種子親、冠さび病抵抗性と耐倒伏性に優れる「Coker 87-9」(アメリカから導入)を花粉親として、集団育種法により育成しました。選抜形質は耐倒伏性、冠さび病抵抗性、出穂性、発芽性等であり、F6世代以降においては都城試験地における評価も加えて選抜し、1999年に「九州12号(たちあかね)」としました。

命名の由来

秋を主な栽培時期とし、耐倒伏性に優れる品種であることから、秋の穏やかな陽射しの中で凛と立つ姿をイメージした名前です。

新品種の特徴

  • 耐倒伏性は既存品種の中で最も強く、倒伏による収穫ロスや品質低下等の危険性が小さいため、安心して省力的に栽培することができます。
  • 夏播栽培において重要な冠さび病を始めとする諸病害に対する抵抗性が強く、その結果、飼料品質が高く維持される品種です。
  • 収量性と耐倒伏性等から判断して、特に南九州において高能力を発揮する品種であり、高品質な飼料を省力的かつ計画的に生産することが要求される委託栽培等に適すると考えられます。

今後の展開

宮崎県において奨励品種採用の意向があります。今後、各県の奨励品種選定試験で評価され、普及に移ることになります。種子の本格的な販売は平成18年の夏頃からですが、試作用種子は九州沖縄農業研究センターで準備します。

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写真1
「たちあかね」の草姿

九州沖縄農研(西合志)2003/11/8撮影

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写真2
「たちあかね」(左3畦)と「たちいぶき」(右2畦)の比較

九州沖縄農研(西合志)2003/11/8撮影

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写真3
「たちあかね」(左4畦)と「スーパーハヤテ隼」(右4畦)の比較

九州沖縄農研(西合志)2003/11/28撮影