プレスリリース
食品の効能実証試験を実施することができる 食と医が提携したバイオベンチャー企業「(株)SAKURA INC.」が始動

情報公開日:2004年3月25日 (木曜日)

背景

食品に含まれる機能性成分が生活習慣病に対して予防効果があるとして近年注目され、数多くの健康食品が販売されています。「食による疾病の予防」を確実なものにするためには、効能を示す成分の特定や、食品としての安全性、効果の医学的検証などが必要です。 九州、特に熊本は、農業及び食品産業が盛んであり、また農学・食品学・医学・薬学系の研究機関、企業、行政等の産学官が集結しています。この地の利を活かし、(独)農業・生物系特定産業技術研究機構と熊本大学大学院医学薬学研究部は、各々の研究成果が活かせるバイオベンチャー企業「(株)SAKURA INC.」を昨年11月に設立し、この春から本格始動します。

会社の特徴

  • 特定保健用食品の申請に必要なヒト臨床受託試験(日本に数社)、機能性評価・機能性成分の受託分析(西日本初)などを行う会社です。
  • 新たなアグリビジネスを切り拓こうとしている企業等のお手伝いをするとともに、自らは、生物系技術者の雇用創出や九州・沖縄地域で生産される農作物の高付加価値化、九州沖縄地域の経済の活性化を図るなど、新産業創出の中核になることを目指しています。
  • 農・食・薬・医の最先端研究者の英知がヒューマンネットワークで結集しており、機能性食品素材に関する技術情報(シーズとニーズ)が集積しています。
  • このような食・医が結束した会社の設立に(独)農業・生物系特定産業技術研究機構が関わるのは初のケースです。
  • また2つの異なる省である農林水産省所管独立行政法人と文部科学省とが結束するのも初のケースです。医食同源に関する入り口から出口までを一貫した流れとしました。

活動内容

1.特定保健用食品候補を対象にしたヒト臨床受託試験の実施

特定保健用食品(保健に役立つある種の効能が認められ厚生労働省がその表示を許可した食品)申請に必要な公平な立場で信頼性の高い第三者評価データを提出します。

2.食品素材の生活習慣病予防効果のヒト臨床受託試験の実施

特定保健用食品申請までは考えていないヒトレベルでの実証試験を実施します。

3.生活習慣病患者の登録バンク

薬物治療までは必要としない軽度生活習慣病患者を集めています。登録者の血液検査・診察を実施し、ヒト臨床試験に迅速に対応できる体制をとっています。

4.機能性成分の分析および機能性評価

(独)農業・生物系特定産業技術研究機構及び熊本大学大学院等からの技術移転により

a.アントシアニン、イソフラボン等の機能性成分の定量及び組成分析

b.抗酸化活性、LDL(動脈硬化症発症の第1ステップに深く関与するリポタンパク質)酸化抑制等の試験管内レベルの機能性評価試験、またこれらの研究に必要 な各種測定試薬の開発

c.実験動物による機能性評価試験等を行います。

5.機能性食品の開発に向けてのコンサルテイング

コンサルタント派遣、専門分野研究者による依頼講演及び技術指導を行います。

6.機能性食品の開発・流通・販売

紫サツマイモ含有食品等、(独)農業・生物系特定産業技術研究機構が研究担当した食品を販売するとともに自社でも新食品を開発します。

組織

1.会社名:株式会社 SAKURA INC.
2.設立年月日:平成15年11月21日
3.本社所在地:熊本市神水1-3-11 共栄ビル3F
4.資本金:520万円(新事業創出促進法による確認会社)
5.役員数:4名(平成16年2月1日現在)

代表取締役 畠山 稔 (元(株)ユージーン企画室長、元文部科学事務官)
取締役(研究開発担当) 須田 郁夫 ((独)農業・生物系特定産業技術研究機構 九州沖縄農業研究センター・食品機能開発研究室長)
取締役(研究開発担当) 堀内 正公 (熊本大学大学院医学薬学研究部教授)
監査役 工藤 正也 ((株)ヒューマン社長)

当面の事業計画

1.特定保健用食品候補を対象にしたヒト臨床受託試験の実施
2.食品素材の生活習慣病予防効果のヒト臨床受託試験の実施
3.高純度LDLの販売
4.生活習慣病診断のための新規バイオマーカーの開発及び臨床診断薬の開発