育成のねらい
かんしょ蒸切 干(干しいも)は茨城県や静岡県などで生産され、ヘルシーな地域特産品として消費されている。しかし、近年、中国からの安価な輸入品が増加傾向にあり、国 産蒸切干の需要の確保が重要な課題となっている。そこで、近年の健康志向や製品の差別化にマッチした高カロテンで鮮やかな橙色の蒸切干加工に適する品種を 開発する。
来歴の概要
アメリカより導入した高カロテン系統「86J-6」を母、多収で、いもの外観、形状や蒸しいも の食味が優れている青果用品種の「ベニオトメ」を父とした交配組合せから選抜した系統である。平成7年以降、「九州122号」の系統名で地域適応性並びに 加工適性を検討してきた。
命名の由来
海風にあてて作られた上質の蒸切干のイメージと外観の良さを表している。
新品種の特徴
- いもは短紡錘形で外観がよく、皮色は淡赤である。
- 上いも重は「サニーレッド」や「コガネセンガン」を上回る。
- ネコブセンチュウに抵抗性を示し、貯蔵性は「サニーレッド」より優れる。・カロテン含量は「サニーレッド」よりやや高い。
- 蒸切干の色は濃橙、肉質はやや粘質で、食味は中からやや上である。
今後の展開
全国のかんしょ作地帯に適するが、当面は静岡県で蒸切干用として利用される(10ha程度)。
地上部
地下部