育成のねらい
沖縄、鹿児島両県には、夏の干ばつや土壌の肥沃度が低いために収量が少ないさとうきび圃場が多い。そのような、普及品種の収量が低い条件でも多収性を発揮するさとうきび品種を育成し、収量の少ない地域の生産安定を図ろうとした。
来歴の概要
糖度は高いが収穫後の株再生力が低い沖縄県農業試験場の育成系統「RF78-209」が母親、アメリカ合衆国で育成された茎がやや太く、さび病等の病害に強い「CP70-1133」が父親である。交配採種は沖縄県農業試験場が行った。1991年以降九州沖縄農業研究センター(種子島)の試験圃場で選抜を行った。1995年以降は「KR91-138」の系統名で、生産力と地域適応性の検定、黒穂病、葉焼け病の抵抗性検定、対象地域における普及性の調査を行った。1996年度以降奨励品種決定調査を実施して普及見込み地域における適応性を評価した。
命名の由来
さとうきび命名の国際的約束に従い、日本で命名登録した16番目の育成品種であるため、日本の頭文字「Ni」に16を続けて、「Ni16」とした。
新品種の特徴
- 茎が長く、やや太い。
- 春植、夏植、株出、どの作型でも茎収量が多い。
- 普及品種の茎収量が低い場合でも比較的多収である。
- 普及予定地域の重要病害である黒穂病には普及品種より強い。
- 可製糖率はやや低いが、茎収量が多いために砂糖収量は多い。
- 風折抵抗性は「NiF8」より弱く、「F177」よりやや強い程度である。
普及の見通し
沖縄県北部の普及品種の収量が低い条件の圃場を中心に、440haの普及を見込んでいる。