育成のねらい
赤米は、古くから伝わる食材として人気が高まる中、最近では、機能性成分を持つ健康食材としても注目されている。しかし、赤米として普及している品種は多くが粳種であるため、餅や和菓子等に利用しにくいという欠点があった。そこで、加工・利用適性がすぐれる糯種で着色の良い赤糯品種を育成する。
来歴の概要
「紅染めもち」は、1992年に九州農業試験場(現 九州沖縄農業研究センター)で交配した、「西海糯197号」(後の「ひみこもち」)を母、赤米(粳)の「は系赤124」(後の「ベニロマン」)を父とする交配組み合わせから育成された。
命名の由来
紅染めのように美しい色をした赤米を表す。
新品種の特徴
1.赤色が良く着色し、米の品質が良い。
2.中生種で、赤糯品種としては収穫量が多い。
・出穂期は「ひみこもち」(晩生の糯品種)よりも3日程度早い。
・収穫量はこれまでの赤糯品種(「つくし赤もち」)と比べ、標肥栽培では同程度、多肥栽培では約2割多い。
3.稈長が短いため、倒れにくくて作りやすい。
普及の見通し
奨励品種採用の予定はないが、佐賀県のおこわ業者が赤糯の特性を活かした新しいタイプの商品を開発しているように、町おこしなどの地域特産物として普及の拡大を目指す。