プレスリリース
早熟でコンバイン収穫適応性が向上した納豆用良質品種「すずおとめ」(だいず農林121号)

- 九州沖縄農業研究センター育成品種の紹介 -

情報公開日:2002年9月 3日 (火曜日)

育成のねらい

 納豆の消費が急速に増えているが、九州地方では納豆の原料となる小粒の大豆品種の生産がほとんどないため、納豆製造業者から小粒品種に対する要望が強い。関 東で主に生産されている「納豆小粒」は暖地で作ると、青立ち株が発生しやすく、最下着莢高が低いため、コンバイン収穫に適さない。そこで、「納豆小粒」の これらの欠点を改良した暖地向け小粒大豆品種を育成する。

来歴の概要

昭和62年に「納豆小粒」を母に、「九系50(Hill/みさお)」を父として人工交配し、以後、選抜・固定を図った。

命名の由来

その子実が小さな鈴(すず)のように丸くてかわいらしい乙女(おとめ)を連想させることから「すずおとめ」と命名した。

新品種の特徴

  • 「フクユタカ」より10~14日程度早く成熟する早生品種である。
  • 「納豆小粒」より裂皮の発生が少なく、「納豆小粒」と同様に納豆加工適性に優れる。
  • 「納豆小粒」より青立ち株の発生が少なく、最下着莢高が高いので、コンバイン収穫適性が向上している。
  • ダイズウイルス病圃場抵抗性並びに紫斑病抵抗性が“強”である。

今後の展開

 奨 励品種採用の予定はないが、福岡県、熊本県では普及が始まっている(平成13年普及面積 53ha)。地域で生産された農作物を地域で消費する、いわゆる「地産地消」の取り組みに活用できる特徴ある大豆として普及面積の拡大をめざす。県南部の 筑後地方を中心に、「ヒノヒカリ」や「ニシホマレ」(酒造用かけ米)および「ヒヨクモチ」の一部に代えて、2000haの作付けが見込まれている。

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左:「フクユタカ」中央:「すずおとめ」右:「納豆小粒」

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左:「フクユタカ」中央:「すずおとめ」右:「納豆小粒」