プレスリリース
最新の汎用収穫機を利用した飼料イネ・飼料作物の生産技術

- 九州沖縄農業研究センター研究成果の紹介 -

情報公開日:2002年9月 3日 (火曜日)

背景・ねらい

飼料イネの利用が注目されているが、水田に対応できる収穫機の開発が課題となっている。また、生産コストを低減させるためには、飼料イネ以外の牧草や飼料作物の収穫機としての汎用利用により、機械の利用率を高めることが望ましい。 これらの課題を解決するために、走行部が水田に対応可能なクローラ型で、刈り取り方式が汎用性のあるフレール型の収穫機を当研究室と農機具メーカーが共同で開発した。 開発したフレール型ロールベーラは刈り取りから梱包までを1台の機械で同時に行うことが可能で、従来の作業体系より省力的である。また、フレール型で刈り取りを行うと、従来のロールベーラより切断長が短く、梱包圧が高まる結果、サイレージの発酵品質(貯蔵性)を向上させる効果が期待できる。 そこで、飼料イネやいくつかの飼料作物をフレール型ロールベーラと従来のロールベール機械体系で収穫・調製し、サイレージの発酵品質について比較・検討した。また、飼料イネでは作業時間を比較した。

成果の内容・特徴

  • フレール型ロールベーラは飼料イネと同様、イネ科の飼料作物の収穫が可能であり、直径88cm×高さ88cm、重さ約220kgのロールベールが調製できる(写真1)。
  • サイレージの発酵品質は従来のロールベーラで調製したサイレージと比較して向上する。例えばスーダングラスや飼料イネでは発酵品質(貯蔵性)を示すV-scoreによる評価が不良から良に改善される(図1)。
  • 作業時間は従来の体系と比較して短縮される。例えば乾物収量約1.5t/10aの飼料イネ1番草における10aあたりの作業時間は約15分短縮される(図2)。

今後の展開

サイレージ品質改善のための添加剤の添加効果を検討する。 家畜による採食性や消化性に及ぼす効果を検討する。 牛乳の品質や肉質に及ぼす効果を検討する。

image.jpg図1.異なる収穫体系で調製したサイレージの発酵品質

従来体系:モ-ア(刈り取り)・テッダー(集草)・カッティングロールベーラ(梱包)

フレール型ロール体系:フレール型ロールベーラで刈り取り・梱包

V-score:サイレージの貯蔵性を示す評点 80点以上;良 60点以上;可 60点以下;不良

image1.jpg図2.飼料イネ1番草における10aあたりの作業時間

備考:調査面積各15a

ロールベール個数 従来区 14個 フレール型区 21個

image2.jpg

写真1.フレール型ロールベーラによるソルゴーの収穫