プレスリリース
九州沖縄農業研究センターが育成した新品種の紹介(かんしょ「べにまさり」)

情報公開日:2001年12月14日 (金曜日)

新品種名

べにまさり (かんしょ農林55号)

蒸しいもは柔らかく、なめらかで、甘味が強い。肉色は黄色が濃く、新食感タイプの有望品種である。

育成のねらい

青果用カンショ「高系14号」およびその派生系統は全国で広く栽培されているが、病虫害に対する抵抗性が弱く、収量が低下したり形状が崩れたりする欠点を有している。また、食味は中程度の甘味と肉質を有しているが、近年の食味志向の多様化により異なるタイプ(特に、粘質で甘い)の品種も要望されている。収量性、食味、病虫害抵抗性に優れる青果用品種を育成する。

来歴の概要

皮色・食味に優れる「九州104号」を母、外観と食味に優れる「九系87010-21」を父として、1992年に人工交配し、選抜した系統である。1998年以降「九州130号」の系統名で、公立農業試験研究機関などで地域適性並びに加工適性を検討してきた。

命名の由来

収量性、食味が非常に優れる青果用かんしょ品種を表す。

新品種の特徴

  • 上いも重は、標準栽培で「高系14号」より15%、早掘マルチ栽培で26%高い(育成地)。
  • 蒸しいもの食味は「上」で「高系14号」の「中」より優る。
  • 蒸しいもの肉色は「淡黄」で「高系14号」の「黄白」より黄色が濃い。
  • 蒸しいもの肉質は「やや粘質」で「高系14号」の「中」と異なる。
  • 病虫害抵抗性は、サツマイモネコブセンチュウに「中」、ミナミネグサレセンチュウに「中」、黒斑病に「やや強~強」である。
  • 貯蔵性は、「コガネセンガン」や「高系14号」より優れ「やや易」である。

今後の展開(普及の見通し)

徳島県では本系統を採用し、食用として普及する。他にも、佐賀県、大分県、石川県等で有望となっている。

kuki_l.jpg「べにまさり」の地上部

imo_l.jpg「べにまさり」の地下部