プレスリリース
多収で加工適性の高い蒸切干品種でペースト加工用にも利用できる新品種「タマオトメ」(かんしょ農林53号)

- 九州沖縄農業研究センター育成品種の紹介 -

情報公開日:2001年10月 9日 (火曜日)

育成のねらい

かんしょ 生産地では、良質な青果用および加工用かんしょ品種を常に要望している。青果用品種では、外観や蒸しいもの食味特性が重視され、また、加工用品種では用途 に適した特性が重視される。近年、加工用用途の1つである蒸切干において、外国から安価な輸入品が増加し、また、既存の蒸切干用品種である「タマユタカ」 で品質の低下が認められることから、良質品種の育成が求められている。そこで、外国産との差別化をできるような品質の良い蒸切干用品種を育成する。

来歴の概要

 赤紅色の皮色で、外観の良い「九系70」を母、外観及び収量性に優れる「ベニオトメ」を父として昭和63年に人工交配し、選抜した系統である。1994年以降「九州118号」の系統名で、公立農業試験研究機関などで地域適性並びに加工適性を検討してきた。

命名の由来

いもの形がふくよかで、美しい形状を表す。漢字表記では“玉乙女”。

新品種の特徴

  •  蒸切干の糖化は「タマユタカ」と同程度で、加工適性は繊維が少なく、剥きやすく、また、色も良好なので「タマユタカ」より総合的に優れる。
  • 蒸しいもの食味も良好で「高系14号」より優れる。また、蒸しいもの肉色は黄色が濃いのでペースト加工用としても適する。
  • 病虫害抵抗性は、サツマイモネコブセンチュウに「強」、ミナミネグサレセンチュウに「中」、黒斑病に「中~やや弱」である。
  • 貯蔵性は、「やや易」である。

今後の展開

 当面は、茨城県で準奨励品種として蒸切干の品質向上による外国産との差別化、 需 要拡大および産地の活性化に利用される。茨城県では本系統の普及面積を約400haと予定している。九州地域でも蒸切干用品種としての普及が期待さ れ、また、蒸しいもの食味が良いことから青果用としての普及も期待される。

 tamayu_l.jpg

(地上部)

タマオトメ

 

 (地下部)