プレスリリース
組合せ能力が高い飼料用とうもろこし一代雑種親品種「Mi62」(とうもろこし農林交親53号)

- 九州沖縄農業研究センター育成品種の紹介 -

情報公開日:2001年10月 9日 (火曜日)

育成のねらい

 飼料用とうもろこしの栽培品種は、自殖系統(自家受粉を数世代続けて、同世代内のばらつきがないよう均一にした系統)を両親とする一代雑種が広く利用されて いる。わが国では、以前は米国で育成された自殖系統を組み合わせて一代雑種を育成していたが、そのような一代雑種は国内の気象条件に十分適応していないこ とから、独自の親自殖系統を育成することが必要であった。そこで、ごま葉枯病抵抗性、紋枯病抵抗性、南方さび病抵抗性及び耐倒伏性に優れ、組合せ能力の高い自殖系統を育成し、耐倒伏性に優れる一代雑種育成のための親品種として利用する。

来歴の概要

 平成2年に九州農業試験 場畑地利用部飼料作物育種研究室(現九州沖縄農業研究センター畑作研究部とうもろこし育種研究室)において、晩生品種「P3286」を母、さび病に強い品 種「P3470」を父として交配し、各種病害抵抗性と耐倒伏性についての系統及び個体選抜と自殖による固定化を進め、平成9年に「Mi62」と命名され た。一代雑種の親として組合せ能力を検定するための検定交配、耐倒伏性検定試験、採種性検定試験及び一般生育特性調査試験等を行って優秀性を確認した。

命名の由来

 九州沖縄農業研究センター畑作研究部の所在地の都城(Miyakonojou)にちなむ。番号は62番目に育成されたことを表現。(読みは「えむあいろくじゅうに」である。)

新品種の特徴

 粒質はデントである。 早晩性は九州では「中生の晩」に属する。 ごま葉枯病抵抗性および紋枯病抵抗性はいずれも「やや強」である。耐倒伏性は「中~強」、折損抵抗性は「強」である。 デント種自殖系統との組合せ能力が高い。本品種を片親とする一代雑種の平均収量は、同熟期の普及品種より高い。本品種を花粉親とする一代雑種「ゆめつよ し」(中生の晩)は、耐倒伏性に優れ、同熟期の普及品種と比べて、TDN収量が約3ポイント高い。

今後の展開

 一代雑種の親品種として利用する。
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「Mi62」の草姿
(撮影:平成12年7月23日、九州沖縄農業研究センター)

mi62_m.jpg「Mi62」の雌穂及び粒