ポイント
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概要
- 「こなだもん」は、通常の食用(米飯用)の品種より粒径2)の小さい米粉に製粉できます。また、製粉時のでんぷんの損傷1)の割合が少ない特長があります。このため、ふくらみが良く、型くずれしにくい米粉パンを製造できます(表1、写真1、2)。
- 出穂期や収穫時期など主要な栽培特性は西日本の広い地域で多く栽培されている品種の「ヒノヒカリ」に近く、お米のとれる量も「ヒノヒカリ」とほぼ同じです。このため高標高地をのぞく西日本の広い範囲での栽培に適します(表2、写真3)。
- 2012年から、兵庫県の但馬地域で、農業団体による「こなだもん」の試作が開始されており、昨年から兵庫県内の生協において米粉10%を含む米粉パンの試験販売が行われています。実需者からも、「でんぷんの損傷が少ない良質な米粉が得られ、パンの食味に優れる。」という評価が得られています。
- 平成27年度から段階的に生産を拡大し、新商品の開発とともに取扱量を500t以上にまで増やす予定で、将来的には100ヘクタール以上の作付けが見込まれます。
- 種子の入手や試作の希望については、下記の研究担当者又は広報担当者へお問い合わせ下さい。
関連情報
予算:農林水産省委託プロジェクト「加工プロジェクト(低コストで質の良い加工・業務用農産物の安定供給技術の開発)(平成18~22 年度)」、運営費交付金
種苗法に基づく品種登録出願:出願番号:第28007 号
用語解説
1) でんぷんの損傷
粉砕時に圧力・熱などの物理的な力が加わると、穀物中のでんぷん粒が損傷します。でんぷんが損傷すると吸水性や酵素感受性が高まります。そのため、でんぷんの損傷割合がパンの品質等に影響を及ぼします。米粉パンには、でんぷんの損傷割合が低い粉が適しており、大まかな目安としては12%以下が望ましいとされています。
2) 粒径
米粉のつぶの大きさを表します。米粉中には1μm 以下の極細かいものから100μm 以上の大きなものまで様々な大きさのつぶが混在していますが、ここでは平均的なつぶの大きさで表しています。大まかな目安としては粒径75μm 以下のつぶが80%以上を占める米粉が米粉パンに適するとされています。
3) 比容積
同じ量の生地からできるパンの容積を表します。これにより、膨らみ(ふわふわ感)を評価します。
4) 湿式気流製粉
米を一度水に浸してから気流粉砕機で製粉する方法で、パン用米粉に用いられる製粉法の一つです。
5) グルテン
小麦など穀物の胚乳に含まれるタンパク質であるグリアジンとグルテニンが、水分のある条件で結 びついた、粘りのある物質です。製パン性や小麦粉を原料とする生地の性質に大きく影響します。
(参考)生協の組合員向け販促資料