全国農業協同組合連合会(JA全農)
株式会社 クボタ
ポイント
農研機構は、タマネギを直播栽培で効率的・安定的に生産するために、畝立て、直下施肥、溝底播種および農薬(粒状)散布が同時にできる作業機を開発しました。畝の上に小さな溝を作り、溝底に施肥を行い、肥料の直上2cm程度のところに播種することができます。JA全農とタマネギの直播栽培の共同研究を行い、この作業機を使用することで大幅な省力化と生産コストの削減をしながら出芽・生育を安定させ、一般的な移植栽培と同等以上の収量結果を得ることができました。2021年7月に株式会社クボタから販売を開始しました。
概要
農業人口の減少や高齢化が進む中で、農業を行う経営体の規模拡大が進んでいます。露地野菜栽培において、規模拡大を進めるために省力化が求められています。
その対応技術として取り組まれているタマネギ直播栽培のさらなる効率化・安定化を図るため、畝立て、直下施肥、溝底播種および農薬(粒剤)散布が同時処理可能な作業機を開発しました。
開発した作業機を使って、直播タマネギの秋まき作型で全農JA西日本営農技術センター(広島県東広島市)および農研機構九州沖縄農業研究センター都城拠点(宮崎県都城市)の各試験ほ場で試験を行った結果、3年間の播種後11日目の平均出芽率は10%向上し、初期生育も良くなり、3年間の換算収量は平均6t/10a以上でした。歩行型全自動移植機を導入した移植体系と比較して、育苗作業がなくなり労働時間は24%削減できると試算しています。
この共同研究の結果から、株式会社クボタと農研機構で作業機の改良を進め、農薬散布部はオプションとした形で2021年7月に販売を開始しました。メーカー希望小売価格は税込158万円~179万円です。
関連情報
予算:共同研究「畝上作溝機能付き播種機を利用したタマネギの直播技術の開発」、農林水産省食料生産地域再生のための先端技術展開事業「大規模露地野菜の効率的栽培管理技術の実証研究」
特許:特許第6253018号
上級研究員 松尾 健太郎