プレスリリース
(お知らせ) 農研機構がアジア生産性機構のCenter of Excellenceに日本で初めて認定されました

- 加盟国における農業の生産性向上、温室効果ガス削減に貢献します -

情報公開日:2023年3月27日 (月曜日)

ポイント

  • 農研機構は、3月10日(金曜日)にアジア生産性機構(APO)からCenter of Excellence (COE)として認定されました。
  • COEとは、特定の分野において世界トップレベルの能力とリーダーシップ、模範的な業績、生産性に貢献する機関として、APOが認定するものです。
  • 今後、農研機構は、これまで開発した水田の水管理技術などをAPO加盟国に展開・移転し、APO加盟国の農業部門における生産性向上と温室効果ガス削減の両立に貢献してまいります。

概要

農研機構(理事長:久間 和生)は、アジア生産性機構(事務局長:Dr. Indra Pradana Singawinata、以下、「APO」)のCenter of Excellence(以下、「COE」)として、2023年3月10日(金曜日)に認定されました。

APOは、1961年に地域国際機関として、アジア太平洋諸国における経済社会の持続可能な発展に寄与するため、相互協力による生産性向上を目的として設立された機関です。加盟国は、21か国・地域 *であり、加盟国の生産性向上努力への助成、必要な課題に係る調査研究の実施、運動を推進する組織・人材の育成等の活動を行っています。

APOは、特定の重点分野において世界トップレベルの能力とリーダーシップ、模範的な業績、生産性に貢献するベストプラクティスを有する機関をCOEとして認定しています。農研機構は、日本で初めて、また、APO加盟国が各国に持つ本部(生産性本部)以外で初めてCOEに認定されました。今後、農研機構が開発した水田の水管理技術等をAPO加盟国に展開・移転する「COEプログラム」を実施し、APO加盟国のコメを主とする農業部門における生産性の向上と温室効果ガス排出の削減の両立に貢献してまいります。

* APO加盟国・地域:バングラデシュ、カンボジア、中華民国(台湾)、フィジー、香港、インド、 インドネシア、イラン、日本、韓国、ラオス、マレーシア、モンゴル、ネパール、パキスタン、 フィリピン、シンガポール、スリランカ、タイ、トルコ、ベトナム(2023年3月時点)。

参考: 農研機構のCOE認定の概要

1.背景と目的

パリ協定の目標実現に向けて、日本政府が、「2050年の温室効果ガス実質ゼロ」そして「2030年の温室効果ガス46%削減(2013年比)、さらには50%の高みを目指す」ことを宣言しています。パリ協定では、先進国のみならず途上国においても温室効果ガス削減に取り組むことが約束されています。また、世界で排出される温室効果ガスのうち、農業分野からの排出は23%(2007-2016年平均)を占めています。そして、APO加盟国は農業国が多いことから、コメを主とする農業部門の生産性向上のみならず、農業部門の温室効果ガス削減技術に対して高い関心を寄せています。

これまで農研機構は、生産性向上と温室効果ガス削減の両立に資する技術として、水田の水管理技術や1kmメッシュデータの活用方法等を開発してきました。農研機構は、COEプログラムを通じてAPO加盟国・地域にこれらの技術を展開・移転することで、アジア地域のコメを主とする農業部門の生産性向上と温室効果ガス排出の削減の両立に貢献してまいります。

なお、本COEプログラムは、APO加盟国21か国・地域のうち農研機構開発技術の展開・移転を希望する国に対して実施されます。

2.採択事業名

Climate-smart Agriculture

3.事業期間

2023年3月~2028年(ただし、相手国の要望などにより延長もあり得る)

4.具体的な活動(予定)

  • セミナー、国際会議の開催
  • COEプログラム参加国への講師派遣

を通して、以下のような技術情報を提供します。

  • 稲作からのメタン発生の抑制技術
  • 農業分野における温室効果ガス削減努力を評価できる、クレジット化算定方法論の策定手法
  • 農業分野における温室効果ガス吸収努力を評価できる、クレジット化算定方法論の策定手法
  • 農業分野における温室効果ガス削減努力を即時に判定できる、Webベースツールの設置運営手法
  • 地球温暖化への適応の基礎となる、1 kmメッシュ気象予報情報のWebベースツール設置運営方法

など。

アジア生産性機構(APO)からのプレスリリース(言語:英語)
https://www.apo-tokyo.org/wp-content/uploads/2023/03/APO-Launches-New-Center-of-Excellence-on-Climate-smart-Agriculture.pdf

問い合わせ先
推進責任者 : 農研機構本部NARO開発戦略センター センター長原田 久富美
担当者 : 農研機構本部NARO開発戦略センター川嶋 浩樹