プレスリリース
大きさが均一な油脂の微粒子を簡易に製造する手法

情報公開日:2000年3月22日 (水曜日)

背景・ねらい

微粒子は食品、医薬品、化成品など様々な用途に利用されている。なかでも大きさの均一な微粒子は、高品質化粧用パウダーや、印刷用塗料、医薬品としてのDDS(薬物伝達法)担体、液晶ディスプレイの材料、診断や分離装置の材料として利用されている。しかし、大きさの均一な微粒子を作ることは難しく、コストがかかる。そこで、食品総合研究所が開発した油滴の大きさがそろったエマルションを作成することのできるマイクロチャネル乳化法(特許)を応用して、大きさが均一な脂質の微粒子を作成する手法を開発した。

(注)エマルションとは油が水の中に分散している状態のことを言う。例:牛乳、ドレッシング、乳液など。

成果の内容・特徴

室温で固体の油脂から微粒子を作るために開発した装置は図1に示す。この装置により、高融点天然油脂が溶ける温度である70°Cで図2に示すように液滴を作成した。作成した液滴を回収して室温で冷やして固めることにより、数十マイクロメートル(μm)の大きさの均一な脂質の微粒子を作成した。作成した微粒子の平均の大きさは21.7μm、標準偏差は0.78μmであり、図3に示したような大きさの均一な脂質の微粒子が得られた。スピードカメラを用いた画像解析の結果、マイクロチャネル乳化法は界面張力により液体が微粒化されるユニークな乳化法であることがわかった。微粒子の大きさはマイクロチャネルのサイズにより制御できる。5~50μmの大きさの微粒子が作成可能である。対象とする油脂としては,ラードなどの動物脂、魚油や植物油を水素添加により硬化させた油脂、ワックスなどがあげられる。

今後の課題

産業界に普及させるためには、生産性の高いシステムの開発が必要である。