ポイント
- 高アミロース米を原料として、やわらかいゼリー状から高弾性のゴム状まで多様な物性のゲル状食品素材が製造できる技術を開発しました。
- 米を原料とした洋菓子やもちもち感のある米麺、餅等の製造に活用できます。油脂を使用しない低カロリー食品、小麦、卵、ゼラチンを加えない菓子等の製造が可能になります。
- 例えば、シュークリームのシューとクリームの両方の原料を小麦粉から米に置き換えることができます。
概要
農研機構は、高アミロース米1)(水稲品種モミロマン等)を製粉せずに粒のまま水を加えて炊飯・糊化させ、温度制御と高速撹拌等の操作でゲル状の新規食品素材を製造する技術を開発しました。
本技術により製造されるゲル2)状の食品素材は、水分量等を調整することで、やわらかいゼリーから、高弾性のゴム状のものまで、幅広く物性の制御が可能であるため、プリン、ムース、クリーム、パイ等の多様な食品の製造ができ、シュークリームのシューとクリームの原料の小麦粉をすべて米に置き換えることも可能です。また、様々に物性を制御できることから、卵、油脂等の使用量を減らした洋菓子類が製造できるので、低カロリー食品の開発が可能となり、小麦・卵を使わない食品への利用も期待されます。さらに、もちもち感のある米麺、餅様食品を作ることもできます。
高アミロース米は粘りが少なく炊飯米には不向きとされてきましたが、本技術の適用により用途拡大が期待されます。また、地域産の米を利用した高付加価値商品の開発等を通じて、農業の6次産業化の推進への貢献も期待されます。
予算:実用技術開発事業「高アミロース米のダイレクト糊化による低コスト高付加価値食品の開発」