農研機構
伊藤忠食糧株式会社
ポイント
農研機構は伊藤忠食糧株式会社と共同で、米飯の食味や食感を表す言葉を広く収集・整理して、約100語から成る用語リストを作成しました。このリストは、さまざまな米飯の品質を詳細に評価する際や米の品種や炊飯方法などによるおいしさの違いを具体的に伝える際の参考資料として使うことができます。今後、辞書のように使える「米飯の表現体系」として展開する予定です。
概要
「ふっくら」「もっちり」「つぶだちがよい」「甘みが強い」といった言葉は、消費者へ米飯(炊飯した米)のおいしさを伝える際によく使われます。それだけでなく、米や米飯の流通、稲の栽培、新しい品種の育成といったさまざまな現場においても、米飯の特徴を表すために使われています。しかしながら、米飯の特徴を表す言葉は数多くありますが、これまでそれらの言葉の整理はなされていませんでした。そのため、ごく限られた言葉しか使われずに詳細な品質が表しきれていない、言葉が曖昧に使われているために特徴が明確に伝えきれていない、などの問題点が指摘されていました。
そこで、農研機構は、伊藤忠食糧株式会社と共同で、「白飯として食べる米」を対象とした「米飯の官能評価用語体系」を構築することを目指して、2021年に研究を開始しました。これまでに、品種の異なる数十種類の米飯やさまざまなタイプの業務用米飯などを、熟練した評価員が実際に食べて特徴を言葉にしました。また、過去の多くの研究や書籍などからも表現を収集しました。このようにして得られた約7000語もの表現を集計、整理、統合して、最終的に約100語のリストにまとめました。今後、リスト内の各用語に定義や例示を付して、辞書のように使える用語体系を完成させる予定です(2024年度予定)。
この用語リストを参照することで、より詳細な米飯の評価設計が容易になり、また、おいしさの詳細を伝える際にも言葉選びが容易に行えるようになります。特性を正確に表すことにより、広く米や米飯の高品質化、需要拡大に貢献します。
なお、本成果については、日本食品科学工学会 第70回記念大会(会期:2023年8月24日(木曜日)~26日(土曜日))において発表いたします。
関連情報
予算 : 資金提供型共同研究(2021-2023年)、運営費交付金