プレスリリース
(お知らせ) 日本で初めて、バイオ炭の農業利用に関する体系的なガイドブックを公開

- 温室効果ガスの削減に貢献します -

情報公開日:2025年5月27日 (火曜日)

農研機
福井
立命館大学

ポイント

農研機構、福井県、立命館大学などから構成される「脱炭素に向けた農林業環境研究コンソーシアム」は、農林水産省委託プロジェクト研究において、日本で初めて、バイオ炭の農業利用に関して体系的にまとめた「バイオ炭の農業利用事例とその活用ガイドブック」を作成し、公開しました。バイオ炭への理解とその農地施用を促進して、日本の温室効果ガス(Greenhouse Gas、GHG)排出量の削減に貢献します。写真や図表を用いつつ、多くの利用事例を紹介しており、農業、企業、行政関係者、一般の方にも理解しやすい内容です。

概要

近年、温暖化対策としてバイオ炭の農業利用が注目されています。バイオ炭とは、植物等のバイオマスを炭化したもので、大気中の二酸化炭素(CO2)に由来する炭素を大量に含みます。バイオ炭の炭素は難分解性であり、農地に施用すると、GHGであるCO2由来の炭素を土壌中に長期間貯留できます。日本では、バイオ炭の農地施用によるCO2削減効果をJ-クレジットとして認証して、売買(取引)する制度も始まりました。そこで、農研機構、福井県、立命館大学などから構成される「脱炭素に向けた農林業環境研究コンソーシアム」は、農林水産省委託プロジェクト研究においてバイオ炭に関する知見とプロジェクトの研究成果を取りまとめ、日本で初めてバイオ炭の農業利用を体系的に解説したガイドブックを作成し、立命館大学のホームページで公開しました(図12)。

図1ガイドブックの表紙、特徴、公開サイト

図2ガイドブックの構成と内容

写真植物を炭化した各種のバイオ炭ともみ殻炭の農地施用

日本では、温暖化対策としてのバイオ炭の農業利用は始まったばかりです。本ガイドブックにより、全国でバイオ炭の農業利用への理解が進み、その導入や普及が促進されると期待されます。それらの導入事例は今後の本ガイドブックの改訂に反映させる予定です。日本の2050年のGHG排出量実質ゼロの目標にむけて、今後、様々な分野で排出量の規制と取引が本格化する中で、本ガイドブックはその目標の実現に貢献します。

関連情報

予算 : 農林水産省委託プロジェクト研究「農林水産分野における炭素吸収源対策技術の開発(農地土壌の炭素貯留能力を向上させるバイオ炭資材等の開発)」JP J008722

問い合わせ先など
研究推進責任者 :
農研機構 農業環境研究部門 所長山本 勝利
福井県総合グリーンセンター 所長灰谷 嘉康
立命館大学日本バイオ炭研究センター
センター長柴田 晃
研究担当者 :
農研機構 農業環境研究部門 気候変動緩和策研究領
グループ長補佐岸本 文紅
同 九州沖縄農業研究センター 暖地畜産研究領域
上級研究員小林 創平
福井県総合グリーンセンター 林業試験部
部長藤田 義憲
立命館大学 日本バイオ炭研究センター
研究センター長柴田 晃
広報担当者 :
農研機構 農業環境研究部門 研究推進室杉山 恵