ポイント
農研機構動物衛生研究部門は、今年11月5日と8日に香川県で発生した高病原性鳥インフルエンザ1)の原因ウイルスの全ゲノム解析を行いました。その結果、このウイルスは昨冬にヨーロッパで流行したH5N8亜型高病原性鳥インフルエンザウイルスが、今年の秋に渡り鳥と共に大陸を渡って日本に侵入したと考えられます。野鳥が運ぶ高病原性鳥インフルエンザウイルスが養鶏場内に侵入しないように警戒が必要です。
概要
2020年11月4日と7日に香川県の2戸の養鶏場で鶏の死亡数増加が報告され、死亡鶏からA型インフルエンザウイルスが検出されました(香川1株、香川2株)。両農場から検出されたウイルスは、共にH5N8亜型2)であり、国際獣疫事務局(OIE)の定める基準により高病原性鳥インフルエンザウイルス(highly pathogenic avian influenza virus: HPAIV)3)であることが明らかとなりました。
香川1株、香川2株の全ゲノム配列を解読し、その8本の遺伝子分節4)について既知のA型インフルエンザウイルスと比較したところ、全ての遺伝子分節が、昨冬ヨーロッパで流行したH5N8亜型HPAIVと近縁であることがわかりました。
さらにこの二つの株は2020年10月に北海道の野鳥糞便から分離されたH5N8亜型HPAIVとも、8本全ての遺伝子分節の相同性が高く、渡り鳥が国内に持ち込んだウイルスにより家禽で発生を引き起こしたと考えられます。
本ウイルスの推定アミノ酸配列には、抗ウイルス剤であるノイラミニダーゼ阻害剤及びウイルス RNA ポリメラーゼ阻害薬に対する耐性変異はみられませんでした。また、哺乳類に対する感染性を増加させるような既知のアミノ酸変異も認められていません。
農研機構動物衛生研究部門では、今後本ウイルスの家禽への感染性、ウイルス排泄などを精査して行く予定です。
香川1株、香川2株の全ゲノム配列を解読し、その8本の遺伝子分節4)について既知のA型インフルエンザウイルスと比較したところ、全ての遺伝子分節が、昨冬ヨーロッパで流行したH5N8亜型HPAIVと近縁であることがわかりました。
さらにこの二つの株は2020年10月に北海道の野鳥糞便から分離されたH5N8亜型HPAIVとも、8本全ての遺伝子分節の相同性が高く、渡り鳥が国内に持ち込んだウイルスにより家禽で発生を引き起こしたと考えられます。
本ウイルスの推定アミノ酸配列には、抗ウイルス剤であるノイラミニダーゼ阻害剤及びウイルス RNA ポリメラーゼ阻害薬に対する耐性変異はみられませんでした。また、哺乳類に対する感染性を増加させるような既知のアミノ酸変異も認められていません。
農研機構動物衛生研究部門では、今後本ウイルスの家禽への感染性、ウイルス排泄などを精査して行く予定です。
問い合わせ先
研究推進責任者 :
農研機構動物衛生研究部門 研究部門長 筒井 俊之
研究担当者 :
同 越境性感染症研究領域 ユニット長 内田 裕子
広報担当者 :
同 広報専門役 吉岡 都