ポイント
- 農研機構動物衛生研究部門(以下、「動衛研」)は、2026年5月、アフリカ豚熱に関するリファレンスラボラトリーに国際獣疫事務局(WOAH)から認定されました。
- WOAHリファレンスラボラトリーは、特定の動物疾病について高度な診断技術を有し、国際標準となる検査手法の確立や加盟国への技術支援において中核的な役割を果たす機関です。
- 今後、農研機構は、WOAHの国際基準や診断およびワクチンに関するマニュアルの策定、同機関が主導する防疫活動の推進に資する最新の科学的知見や技術の提供に積極的に取り組んでいきます。
概要
アフリカ豚熱(African swine fever : ASF)は、ASFウイルスの感染によって豚やイノシシに引き起こされる、致死率の高い伝染病です。アフリカを起源とする本疾病は、2007年にコーカサス地域に侵入して以降、欧州、アジア、さらにはカリブ諸国へと急速に拡大し、世界の養豚業に深刻な影響を及ぼしています。2026年4月末現在、アジアでは日本とブルネイを除くほぼ全ての国で発生が確認されており、国際的な防疫対策の強化が課題となっています。
これまで動衛研は、ASFに関する基礎研究に加え、国内へのウイルス侵入防止策、迅速診断技術の開発、ワクチン研究など幅広い分野で成果を挙げ、国際的にも高い評価を受けてきました。これらの実績を背景として、本年5月18日から22日にフランスで開催された国際獣疫事務局(WOAH)1)の第93回総会において、動衛研はASFに関するWOAHリファレンスラボラトリー2)に認定されました。
動衛研は、ASFに関するWOAHリファレンスラボラトリーとして、国際的な診断支援に加え、WOAHの国際基準3)や診断とワクチンに関するマニュアルの策定、ならびに同機関が主導する国際的な防疫活動の推進に資する最新の科学的知見や技術の提供に積極的に取り組んでいきます。
主席研究員國保 健浩
用語の解説
- 国際獣疫事務局(WOAH)
- 世界の動物衛生の向上を目的として、動物衛生や人獣共通感染症に関する国際基準の策定などを行う国際機関で、通称はWorld Organisation for Animal Health。1924年にフランス・パリに設立されました。[概要へ戻る]
- WOAHリファレンスラボラトリー
- WOAHリファレンスラボラトリーは、動物疾病の診断および診断法に関する専門機関であり、WOAHおよび加盟国に対する助言や防疫対策の提言、標準試薬の保管などを担うとともに、これらの活動を通じて、国際標準となる検査手法の確立に重要な役割を果たしています。現在、世界39か国において109の疾病・専門分野で270施設(2026年4月時点)が認定されており、日本では、5機関が13疾病に関して認定されています。農研機構動物衛生研究部門は、これまで牛疫、豚熱、豚インフルエンザ、牛海綿状脳症の4疾病に対し認定を受けており、今回のアフリカ豚熱が5疾病目の認定となります。[概要へ戻る]
- WOAHの国際基準
- WOAHは動物および動物製品に関する国際基準として2種類の基準を作成しています。1つは、動物および動物製品の貿易の際に参照する事項を規定したコードと呼ばれる基準、もう1つは、疾病の診断方法やワクチンに求められる要件などを規定したマニュアルと呼ばれる基準です。[概要へ戻る]
参考
「国際獣疫事務局(WOAH)」についての詳細はこちらのページをご覧ください。
http://www.maff.go.jp/j/syouan/kijun/wto-sps/oie.html (外部リンク)
「日本のWOAH リファレンスラボラトリーおよびコラボレーティングセンター」の一覧はこちらのページをご覧ください。
https://www.maff.go.jp/j/syouan/kijun/wto-sps/oie/pdf/260522_rc_japan.pdf (外部リンク)
「WOAHの国際基準と診断マニュアル」についての詳細はこちらをご覧ください。
https://www.maff.go.jp/j/syouan/kijun/wto-sps/oie5.html (外部リンク)
アフリカ豚熱についての詳細はこちらのページをご覧ください。
https://www.naro.go.jp/laboratory/niah/asf/index.html