独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構(略称:農研機構)作物研究所は、株の全重収量と可消化養分総量(TDN)収量に優れる稲発酵粗飼料用の水稲品種「たちすがた」を育成しました。本品種は耐倒伏性に優れる系統「関東PL12」に多収品種「タカナリ」を交配して育成した品種です。茎葉の収量が多い「たちすがた」は稲発酵粗飼料用の品種として、関東以西の地域での利用が期待できます。
本研究は、農林水産省委託プロジェクト「粗飼料多給による日本型家畜飼養技術の開発」予算で実施されました。
- 中生熟期で全重収量2t/10aを実現 -
情報公開日:2008年7月24日 (木曜日)
独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構(略称:農研機構)作物研究所は、株の全重収量と可消化養分総量(TDN)収量に優れる稲発酵粗飼料用の水稲品種「たちすがた」を育成しました。本品種は耐倒伏性に優れる系統「関東PL12」に多収品種「タカナリ」を交配して育成した品種です。茎葉の収量が多い「たちすがた」は稲発酵粗飼料用の品種として、関東以西の地域での利用が期待できます。
本研究は、農林水産省委託プロジェクト「粗飼料多給による日本型家畜飼養技術の開発」予算で実施されました。
日本の食料自給率が低い要因の一つに、飼料の多くを海外からの輸入に依存していることが上げられ、自給率向上のために国内飼料の増産が求められています。その方策のひとつとして、生産調整を行っている水田を利用した飼料用稲の生産に注目が寄せられています。
飼料用水稲には、米を利用する飼料米用品種と株全体を利用する稲発酵粗飼料用品種があります。さらに、稲発酵粗飼料用品種は米の割合が高い「子実型」と茎葉の割合が高い「茎葉型」に分けられます。埼玉県などの北関東では極晩生の熟期の茎葉型稲発酵粗飼料用品種「はまさり」が主に栽培されています。しかし、収穫作業の分散を図るために、中生の熟期の茎葉型品種も求められています。
そうした生産者の要望に応えるために、中生の熟期で茎葉の収量が高い稲発酵粗飼料用品種「たちすがた」を育成しました。
背が高くすらりと立った姿が美しいことから命名しました。
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写真1.「たちすがた」の圃場における草姿 |
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写真2.「たちすがた」の株 (左:タカナリ、右:たちすがた) |
写真3.「たちすがた」の籾と玄米
黄熟期
稲が完全に熟する前で、サイレージに適した収穫時期。米の胚乳がロウ状で、玄米が爪で容易につぶせる柔らかさの時期である。
可消化養分総量(TDN)
飼料の栄養価の指標。飼料に含まれる消化、吸収できる養分の単位当たりのエネルギー量から求められる。
粗飼料
家畜に給与する飼料の中で、生草、サイレージ、乾草、わら類など、容積が大きく、繊維含量が高いもの。
発酵粗飼料
ホールクロップサイレージ。トウモロコシや稲の茎葉部分と子実部分を一緒に収穫して、サイレージ発酵させた飼料。