プレスリリース
良食味・多収の水稲新品種「あきだわら」を育成

- 食味・品質が良く、反収12俵(720kg)が達成できる中生品種 -

情報公開日:2009年4月22日 (水曜日)

ポイント

  • 良食味で玄米品質が良い多収水稲品種「あきだわら」を育成しました。
  • 生産者、流通業者、消費者ともにメリットを享受できる低価格で質の良い米の生産・流通が期待されます。

概要

独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構(略称:農研機構)作物研究所は、食味、品質が良く、多収の主食用水稲品種「あきだわら」を育成しました。本品種は、収量性に優れる「ミレニシキ」に品質・食味の優れる「イクヒカリ」を交配して育成しました。「あきだわら」は、一穂籾数が多いため、「コシヒカリ」より30%程度の多収が期待できます。食味は「コシヒカリ」に近く、玄米の外観品質は「コシヒカリ」と同等です。安価で良質な米商品として、業務用米等への利用が期待されています。


詳細情報

《背景とねらい》

昨年度、穀物・大豆の国際価格が急騰し、我が国でも小麦製品をはじめ様々な食品が値上りし、国民の食生活が圧迫されました。そうした中で、価格の安定している米食への人気が高まり、安価で品質の良い米への消費ニーズが一層高まっています。こうした中、当研究所では、農業経営者の所得を確保しつつ消費ニーズに応えていくため、良質・良食味の多収品種の育成を進めてまいりました。

 

《成果の内容・特徴》

  • 「あきだわら」は収量性に優れる「ミレニシキ」に品質・食味の優れる「イクヒカリ」を交配して育成した主食用品種です。
  • 出穂期は「コシヒカリ」より9日遅く、成熟期は「コシヒカリ」より11日遅く、関東平坦部では「日本晴」並の“中生の晩”熟期に属します(表1)。
  • 育成地の成績では、標準施肥栽培の「コシヒカリ」と比較して、同じ施肥量で玄米収量が13%多収、多肥栽培では31%多収です(表2)。一穂籾数が多く面積当たりの籾数が多いのが多収の要因です。
  • 玄米品質は「日本晴」と同等で「コシヒカリ」と同等かやや優ります(表2)。炊飯米の食味は、標準施肥栽培及び多肥栽培共に「コシヒカリ」に近い良食味です(表2)。
  • 耐倒伏性は「コシヒカリ」より優り「日本晴」並です(表3)。
  • 「コシヒカリ」同様、いもち病と縞葉枯病に弱いので(表3)、適正に防除を行う必要があります。常発地での栽培は避けてください。
  • 多収で米の外観品質、食味とも良いため、安価で良質な米商品として、業務用米等の用途が期待できます。栽培適地は関東・北陸以南です。

《品種名の由来》

    秋にたくさんの米が収穫でき米俵が並ぶことから命名しました。


写真1 「あきだわら」の圃場における草姿

写真1 「あきだわら」の圃場における草姿

 

写真2 「あきだわら」の玄米

写真2 「あきだわら」の玄米

 

表1.生育特性

 

表2.収量・品質

 

表3.耐性・耐病性