農研機構
鳥取大学
ポイント
農研機構と鳥取大学他の研究グループは、コムギの着粒数を制御する遺伝子を発見しました。この遺伝子が変異することにより、コムギの収量が向上することを明らかにしました。また日本の多収性コムギ「きたほなみ」の多収性には、この遺伝子が寄与していることがわかりました。本成果は、コムギの新品種開発へ応用できます。
概要
今回、農研機構、鳥取大学、北海道総研、ライプニッツ植物遺伝学・作物研究所(ドイツ)、ヘブライ大学(イスラエル)他の研究グループは共同で、コムギの着粒数を制御する遺伝子「GNI1(ジーエヌアイワン)」を発見しました。
GNI1遺伝子がコードするタンパク質の105番目のアミノ酸がアスパラギンからチロシンに変わることにより、コムギの一小穂当たりの粒数が10%程度増えることが明らかになりました。さらに実験圃場(ほじょう)における収量性試験を行った結果、穂あたりの粒数の増加によって収量も10-30%高くなることが確認されました。日本の多収性コムギ品種である「きたほなみ」は、チロシン型のGNI1遺伝子を持っています。
チロシン型のGNI1遺伝子は、普通系コムギ(パンコムギ)1)の一部品種やデュラムコムギ1)でしか利用されていません。今後は、本遺伝子に着眼したDNAマーカー選抜育種やゲノム編集による新品種開発などへの応用が期待されます。
研究内容の詳細は国際科学誌「Proc. Natl. Acad. Sci. USA(米国科学アカデミー紀要)」電子版に2019年2月21日に掲載されました。
関連情報
予算:農林水産省委託プロジェクト 次世代ゲノム基盤プロジェクト「麦及び飼料作物の有用遺伝子の同定とDNAマーカーの開発」、運営費交付金
特許:特許第6293660号
お問い合わせなど |
研究推進責任者 : 農研機構 次世代作物開発研究センター 所長 矢野 昌裕 研究担当者 : 農研機構 次世代作物開発研究センター 基盤研究領域 小松田 隆夫 広報担当者 : 農研機構 次世代作物開発研究センター 広報プランナー 大槻 寛 |