農研機構
株式会社寺田製作所
静岡県農林技術研究所
ポイント
農研機構は、株式会社寺田製作所、静岡県農林技術研究所と共同で、茶園における除草作業の大幅な省力化に貢献する新しい茶園用除草機(以下、開発機)を共同で開発しました。開発機と手取り除草を組み合わせた体系では、従来の手取りのみの除草作業に比べ、除草時間を50%以上削減できます。本開発機の活用による除草作業の機械化により、茶園作業の大幅な省力化が期待されます。本開発機は2023年12月より(株)寺田製作所から販売されています。
概要
近年、有機栽培や農薬使用量の少ない茶栽培に対する消費者のニーズが高まっています。しかしながら、除草剤を散布しない手取り除草は非常に多くの労力を要し、さらに、手取り除草を行う雇用労働力の確保も困難になってきていることから、産地の維持・発展のために除草作業の機械化が急務となっています。
そこで農研機構は、(株)寺田製作所、静岡県農林技術研究所と共同で、茶園の樹冠1)下や雨落ち部2)及びうね間の除草が可能となる茶園用除草機を開発しました(図1)。
開発機は、①うね間除草機構と②樹冠下・雨落ち部除草機構の2種類の除草機構を持つアタッチメント式の茶園用除草機です。①うね間除草機構は、乗用型茶園管理機から動力を得て油圧モータを用いて除草爪を回転させるタイプです。②樹冠下・雨落ち部除草機構は、樹冠下や雨落ち部に除草刃が入り込み雑草をかきとる構造となっています。樹冠下・雨落ち部を除草する際に茶樹を傷める恐れがあることから、この除草機構は、茶樹に強く当たった場合は、内側に縮むような機能を有しています。この2種類の除草機構は乗用型茶園管理機の走行部の後方に装着する構造で、茶うねの両側を同時に除草します。
本開発機を用いた現地試験の結果、開発機のみで除草できた割合は平均83%でした。開発機による除草時間と開発機で除草しきれなかった雑草を手取り除草した時間を合わせても、慣行の手取り除草に比べて、除草時間を50%以上削減できることを確認しました。本開発機は2023年12月より(株)寺田製作所から販売されています。本開発機の普及により、茶園の除草作業の機械化が促進され、茶園作業の大幅な省力化が期待されます。
関連情報
予算 : 農業機械技術クラスター事業「茶園用除草機の開発」(茶園用除草機の開発を実施)、 令和3年度補正予算戦略的スマート農業技術等の開発・改良「スマート農業技術の開発・改良」事業「茶のスマート有機栽培技術体系の開発と現地実証試験」(現地実証試験を実施)